ミドリムシ燃料

ライフスタイル総合研究所



 ミドリムシ燃料

投稿日:2014年09月17日 09:00

「ミドリムシ」という名前をみなさんも聞いたことがあると思います。ム
シという名前ですが、ワカメやコンブと同じ藻の仲間です。体長わずか0.05
ミリという小さな微生物は髪の毛の太さのおよそ0.07ミリよりも小さく、姿をは
っきり見るためには顕微鏡が必要になります。

ミドリムシは5億年以上も前、原始の地球に誕生しました。1660年代にオ
ランダのアントニ・ファン・レーウェンフック氏により発見され、学名のユ
ーグレナはラテン語で美しい(eu)眼(glena)という意味です。

体は緑色で植物のように光合成を行なって栄養を体内に蓄えるだけでなく、
動物のように細胞を変形させて移動しますので、動物と植物の両方の特徴を
持っています。淡水で育ち、太陽光と水、二酸化炭素による光合成で成長し
ていきます。光合成を行なって二酸化炭素を炭水化物に固体化して酸素を作
りますので、地球温暖化対策にとても有望であると期待されています。

ミドリムシは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など実に59
種類の栄養素を含んでいますので、人間が生きていくために必要な栄養素の
大半があるといっても過言ではありません。先進国の人々にとっては日々の
食生活で足りない栄養を補う栄養補助食品として、発展途上国では微量栄養
素の不足に苦しんでいる人々に向けた食料援助素材となります。また、その
栄養素の生産効率は稲の十数倍ともいわれ、過酷な高濃度の二酸化炭素の環
境下で成長していける生存能力の高さは注目すべき部分です。

また、ミドリムシから作り出すバイオ燃料にも注目が集まっています。植
物などを原料とするバイオ燃料は生産段階で二酸化炭素を吸収しますから、
燃やしても大気中の二酸化炭素の総量が増えない計算になります。バイオ燃
料のトウモロコシやサトウキビの利用は穀物価格の上昇を招くおそれがあり、
食料資源を減少させない燃料として注目されています。光合成により脂肪酸
メチルエステル(FAME)という軽油に似た油分を抽出することができます。

単位面積あたりの生産量はトウモロコシの最大700倍とされ、培養できる
夢の資源といわれています。藻類は繁殖力が高く、国土の狭い日本でも一定
の生産量が可能で、下水や農業廃水から窒素やリンなどの有機物を吸収して
増殖するために環境面でも優れています。

日本の一日あたりの石油の消費量は米国、中国に次いで世界第3位ですが、
自給率は1%にも満たないのが現状です。藻類燃料が実現すれば自給率向上
の夢にも近づきます。最大の課題は生産コストで、1リットル当たり500-600円と
ガソリン価格の3.0-3.5倍になりますので大量培養と抽出技術の確立が急が
れます。



https://www.lifestyle.co.jp/2014/09/post_728.html
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