「原発のゴミ」2
投稿日:2014年08月19日 09:00
フィンランドでは使用済み核燃料を十分に冷やして、そのまま容器に入れ
て埋めますが、日本の原発のゴミはフィンランドのゴミとは少し性格が異な
ります。再利用可能なプルトニウムやウランを分離して、使い道がなくなっ
た廃液だけを捨てます。廃液は、まだたくさんの放射性物質を含んでいます
ので、ガラスで固める「ガラス固化体」と呼ぶ塊にして容器に入れて埋めま
す。プルトニウムなどを分離した結果、ゴミの総量は少なくなりますが、国
内には約1万7000トンの使用済み核燃料があります。直径約4センチ、
高さ約1.3メートルのガラス固化体に換算すると約2万5000本になります。
各原発から出る低レベルの放射性廃棄物は、青森県の六ヶ所村で最終的に
埋設処分されますが、六カ所村の貯蔵施設がすでに満杯の状態になっていて、
発生量に処分量が追いつかない状態です。8割以上は各原発の使用済み核燃
料プールに保管されていて、原発敷地内での保管管理が不備などのトラブル
も起きています。また、使用済み制御棒など低レベルに分類されながら線量
が高い廃棄物は、いまだに受け入れ先が決まっていないのが現状です。
電力業界では、これから増えることを見越して4万本を収容できる約6平
方キロメートルの地下施設を計画して、2000年から誘致してくれる自治体を公募して
きました。2007年に高知県東洋町が立候補しましたが、住民の反発と反対派
の町長の当選で撤回されました。一般のゴミ処理だけでも大変なのに原発の
ゴミともなれば、安全性の問題があります。放射性物質を含まない有害なゴ
ミの保管施設や処分場の建設は反対運動があっても、造らなければ社会全体
が困るとの認識から、最終的にはどこかに落ち着いてきました。しかし原発
のゴミに関しては、発生源である原発そのものに反対する意見が多く、処分
上の必要性は理解できますが、原発から際限なくゴミが出るのは問題なので
す。
日本は地震や火山の多い国です。ガラス固化体が出す放射線の量が、自然
界にあるウラン並みに下がるには1万年から10万年かかるといわれています。
もし、その間に天災で施設が壊れないかという不安があります。放射能が漏
れなくても、ゴミが運び込まれているというだけで、周辺の農作物が敬遠さ
れる風評被害の問題、自治体が手を上げて調査に協力するだけで、国が20億
円の補助金を出すといった、金で釣るような計画の進め方も不信を招いてい
ます。
原発のゴミ処分は原子力政策そのものに直結する政治的色彩が濃い問題で
すから、霞ヶ関の審議会で議論しただけで、国民の同意を得るのは難しいと
ころです。
https://www.lifestyle.co.jp/2014/08/post_721.html
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