「原発のゴミ」1
投稿日:2014年07月22日 09:00
原発が電気を生み出すエネルギーとして登場してから約60年経ちますが、
特に原子力発電所から出る原発ゴミは放射性物質をたくさん含み、何万年も
放射能を出し続けるため、ゴミをどうやって処分するか主要国にとって共通
の悩みとなっています。
原発からでるゴミは使用済み核燃料と廃炉によって生じる廃棄物の大きく
分けて2つがあります。原発のゴミの処分法は1960年代からいろいろと検討
されてきました。例えば、海の深海底や南極の氷河に埋める方法です。何万
年も人間社会と隔離できるかもしれませんが、一国が自由にできる場所では
ありません。また、宇宙に捨てるという案もありましたが、スペースシャト
ルの事故を考えると、失敗が怖くなります。
ゴミの発生国が自国内で始末するなら地下に埋める方法があります。発電
に使った燃えかすである高レベル放射性廃棄物は、ガラス原料と一緒に高温
で溶かしてステンレス容器に入れます。この「ガラス固化体」を地下300メートル
超えの深い場所に埋める方法が最適で、欧米の原発保有国はどこも地下処分
の可能性を探っています。
世界に先駆けてこの難問に具体的に取り組んでいる国がフィンランドです。
南部のオルキルオト島の地下に使用済み核燃料を埋める処分場の建設を進め
ています。処分場の名は「オンカロ」、フィンランド語で「隠し場所」を意
味します。20億年前の花崗岩の岩盤に大きなトンネルを掘り、地下450メートルに
核燃料を運び込みます。この岩盤は過去19億年大きく動いた形跡がないから
です。
核燃料は直径1メートル、高さ4メートルの鋼鉄製容器に収め、地下トンネル内に掘った
縦穴にひとつずつ入れていき、容器の周辺には粘土を詰めて安定させます。
予定では2020年から受け入れを始めて、約9000トンを収容した後、100年後に
入り口を塞いで外界と隔離します。こうした処分を「地層処分」と呼びます。
スウェーデンでは、現在、原発のあるフォルスマルクが処分地に選定され
ていて、決定待ちの状況です。決まれば2029年頃に操業開始となります。
フランスではスペイン国境に近いビュールに核廃棄物地下研究所があり、
ここに処分場を建設して、2025年頃に操業を開始する計画が進んでいますが、
地元の反対意見が強くあります。
アメリカではブッシュ政権の時代にネバダ州ユッカマウンテンに処分場を
建設する計画が進んでいましたが、地元の反対が根強く、オバマ政権になっ
て撤回することになりました。
そのほかスイス、ドイツ、イギリス、カナダ、中国などでも処分場選定の
動きは見られますが、具体的な候補地はまだ決まっていません。日本も同様
の状態です。
https://www.lifestyle.co.jp/2014/07/post_715.html
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