奉納 第二十四回「八ヶ岳薪能」
投稿日:2014年06月24日 09:00
■能 橋弁慶 弦師 はしべんけい
弁慶(シテ)は宿敵のため夜毎五条の天神に参詣している。供の家来(ト
モ)から不思議な少年が飛鳥のごとく人を斬ると聞いて思いとどまろうとす
るが、弁慶ほどのものが無念と思い直し出かけることにする。誰かに斬られ
たと臆病な男(アイ)が逃げてくる劇中劇が、狂言方によって演じられる。
牛若丸(子方)は母親の厳命で明日から鞍馬の寺に登らねばならず、これ
が最後の夜と五条の橋で通行人を待つ。大薙刀の武装いかめしい弁慶との戦
いは、昔の尋常小学校唱歌の通り。女装をあなどった弁慶は、牛若の小太刀
にさんざん翻弄され、ついに完敗。家来になることを誓って終わる。
充実の年代の山井綱雄演ずる素顔の役。金春流では、後シテに威嚇のため
かいかめしい長霊べし見(ちょうれいべしみ)の面をかける演出も伝わるが、
ほとんど用いられない。十歳になる子息が牛若を勤める父子共演も、今年の
八ヶ岳薪能の話題である。
■狂言 樋の酒 ひのさけ
現在では和泉流だけの演目である。留守を言いつけると酒を盗んで飲む二
人の召使いに、主人(小アド)は米蔵と酒蔵を預け、蔵を離れるなと厳命し
て外出する。酒蔵の次郎冠者(アド)は早速飲み始め、羨ましがる太郎冠者
に、一計を案じて樋を渡して酒を流して飲ませる。
とうとう太郎冠者は米倉を離れて酒蔵に合流してしまい、にぎやかな宴会
となる。三宅藤九郎派の嫡流である三宅右近と、その後継者の緊密な舞台が
展開する。
■能 紅葉狩 紅葉ノ舞 群鬼ノ伝 もみじがり
満山の紅葉。酒宴を催す上臈たち(シテとツレ)。鹿狩りの態で登場した
平維茂(ワキ)は、美女の誘惑に負けて宴に加わり、舞の美しさと重なる盃
に、陶然と寝込んでしまう。夜嵐とともに女達の姿が消える。神の使い(ア
イ)が現れ、実は戸隠山の鬼退治の使命を語り、神劔を授ける。
鬼女たちの襲撃。今回の「紅葉ノ舞」「群鬼ノ伝」の演出は、先代宗家金
春信高が薪能を考慮して創ったもので、平成七年、明治神宮薪能において初
演された。先年演じられた観世流の「鬼揃」に似てまた新たな工夫が加わり、
まこと豪華な舞台は、水上にきらきらと色彩を増幅させて、夢幻の世界へと
誘う。
聖徳太子時代からの芸系を継ぐ現宗家金春安明は、八十世を数える。奈良
の薪能を主催する金春流の、古雅でおおらかな芸風が、日本一の屋外舞台の
身曾岐神社の神域に生きる。
能楽評論家 増田正造氏
◆奉納 第24回「八ヶ岳薪能」
神事 清祓の儀 宮司 坂田安儀
解説 能楽評論家 増田正造
能 橋弁慶 山井綱雄
狂言 桶の酒 三宅右近
神事 篝火点火の儀 神 職
能 紅葉狩 金春安明
日 時:平成26年8月3日(日曜日)開場15:30
開演16:30-19:45頃終演予定
会 場:身曾岐神社 能楽殿
山梨県北杜市小淵沢町上笹尾3401
0551-36-3000
JR中央線→小淵沢駅下車(タクシー5分)
中央自動車道→小淵沢I.C.より車で5分
協賛金:一万円(全席指定)
申込先:八ヶ岳薪能実行委員会 03-3568-3229
★奉納 第二十四回「八ヶ岳薪能」
http://www.just.st/index.php?tn=index&in=302069&pan=6845
https://www.lifestyle.co.jp/2014/06/post_682.html
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