燃料電池車

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 燃料電池車

投稿日:2013年09月05日 15:00

 ガソリン車より長い距離を走り、空気を汚さず「究極のエコカー」といわ
れる燃料電池車(FCV)が2015年に500万円台の価格で売り出されます。トヨ
タやホンダ、日産などの自動車メーカーは実証実験に取り組んでいます。ガ
ソリン価格の高騰や環境問題などを解決するために電気自動車(EV)の開発
を進めてきましたが、航続距離や充電時間で販売は低迷、原子力発電所の稼
働再開の不透明さもあり、普及の前提が揺らいでいます。

 代わりに脚光を浴び始めたのが燃料電池車です。燃料は水素を使い、空気
中の酸素と反応させて水になる時のエネルギーでモーターを動かします。燃
料の充填にかかる時間もガソリンの給油と同程度で、航続距離はガソリン車
と変わらないかそれ以上になります。

 燃料電池車は10年前にも注目されたことがありましたが、当時の価格は1
台、約1億円でした。バッテリーに相当する燃料スタックや水素と酸素の反
応を高める触媒、水素タンクに技術革新が起きて、今回500万円程度まで安
くなります。例えば、高圧の水素を溜めるタンクに炭素繊維を巻き付ける技
術を使って、強くて軽い小型の製品を開発しました。

 市販化に向けて自動車メーカー各社の動きが活発になり、2013年1月にト
ヨタは独BMWと燃料電池車の開発で合意、そのすぐ後に日産自動車と仏ル
ノーの連合が独ダイムラー、米フォードと提携しています。ホンダもGMと
連携を取っています。水素は天然資源ではありませんから、様々な方法で製
造しなければなりません。現在は石油精製や製鉄などの生産で副次的に発生
する製造水素がよく使われていますが、水素ステーションのようなインフラ
設備に供給するには、さらに安定的な水素の製造が必要となります。

 また、水素ステーションに大量の水素を保存しておくには、さらなる水素
の圧縮技術が必要になり、かつ、一般ユーザーが購入できる価格帯でなけれ
ば普及は難しくなります。水素の製造コストはまだまだ高いのですが、化石
燃料はやがて枯渇しますから、燃料電池車は将来のエネルギー危機を乗り越
える切り札になりそうです。エネルギーを持たない日本にとって、エネルギ
ー自給の点からも普及は急務といえます。

 水素の自給率が高まれば原油購入資金の国外流失を防ぎ、インフラ整備に
充てることができます。関連産業の育成や雇用創出にもつながるため、政府
も補助金の設定を検討しています。環境や産業創出、貿易収支の影響を考え
ると燃料電池車による経済波及効果に大きな期待が寄せられています。



https://www.lifestyle.co.jp/2013/09/post_660.html
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