耐震診断義務化
投稿日:2013年04月24日 15:30
「耐震改修促進法」が改正され、旧耐震基準の建築物に対して、耐震診断
と改修が義務化されます。耐震改修促進法は、阪神・淡路大震災を契機に、
耐震改修を促進し、建築物の地震に対する安全性の向上を図ることを目的と
して1995年に施行されました。
今回の改正の背景としては、耐震化率が計画より遅れていることと、リー
マン・ショック以降は新設住宅着工戸数が減少し、当初予測ほど建て替えが
進んでいないという要因もあり、耐震化の一層の促進が必要とみなされまし
た。もう一つは、南海トラフの巨大地震や首都直下地震が最大規模で発生し
た場合の被害想定では、東日本大震災を超える人的・物的被害がほぼ確実視
されており、地震の被害を最小限に抑えるため、減災に向けて建物の耐震化
が急務とされていることもあげられます。
診断義務化の対象となるのは、旧耐震基準下で建てられた不特定多数の人
が出入りするホテルや百貨店、病院、そして災害時に避難所となる学校とい
った「指示対象特定建築物」のうち、延べ床面積5000?以上の物件です。原
則オフィスビルは対象外ですが、自治体が指定する緊急輸送道路沿いの建物
は対象となります。
特定建築物は全国で約4000棟が対象になる見込みで、耐震化状況は全体で
約43000棟の7割が耐震診断を終えていますが、5000?以上の約9600棟では
6割にとどまり、約4000棟で診断が実施されていない状況にあるため、当面
は大規模な特定建築物の耐震診断を進め、進捗状況に応じて義務化の対象を
拡大していく考えです。
東日本大震災の際には、緊急の輸送道路や避難路の周りの建物が倒壊して
通路を妨げる例が多発したため、人命救助や早期復旧の妨げになりました。
沿道建築物は旧耐震基準で建築された道路幅員の1/2を超える高さの建築物
などが対象になります。診断を条例で義務化した東京都内では約5000棟と推
計されています。調査に応じない建物の所有者には罰金を科すことや建物名
称を公表するとしています。
また、調査に必要な費用の補助ができるようにし、所有者に早期の対応を
促すとともに、耐震改修には数千万円以上の金額が必要となりますが、その
助成も検討されています。マンションの場合は積立金不足を理由に住民が診
断を受けることに反対が多かったり、資金を捻出できないビルオーナーなど
から反対の意見もあります。
当面は対象外とされているオフィスビルにも影響は出そうです。東日本大
震災以降、テナントが耐震性能を気にする流れは加速しており、新しいビル
に一段と人気が集中しそうです。政府は、大きな地震に耐えられる大規模な
建物や住宅の割合を2015年までに9割に引き上げる目標を掲げています。
https://www.lifestyle.co.jp/2013/04/post_640.html
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