地熱発電
投稿日:2012年10月30日 09:00
東日本大震災後の再生可能エネルギー導入拡大の機運を背景に、地熱発電
への感心が高まっています。日本は火山列島と呼ばれるほど火山が多く、地
下深部にはマグマが存在し、膨大なエネルギーが眠っています。
世界でも、いま地熱発電への注目が高まっています。アメリカエネルギー
情報局は地熱発電量は2008年の600億キロワットから2020年には1250億キロワットに
伸びると予測しています。アイスランドは以前石炭で賄っていましたが、今では
電力開発の99%を地熱で、電力エネルギーに限れば15%前後が地熱発電によ
るものです。電力を産出するだけでなく、一方では熱水を生み出して、極北
の生活に欠かせない暖房システムとしても利用しています。
地熱発電は火山が分布する地域などで、地下1000-3000メートルの場所にある高
い温度の熱水や蒸気が溜まっている層に向けて井戸を掘ります。地下の熱水
は200℃くらいの高温ですが、地中の圧力で沸点が高いため蒸気にはなって
いません。この熱水が井戸を上昇する間に沸騰して蒸気が発生するので、地
上の気水分離器によって蒸気と熱水に遠心分離して、蒸気でタービンを回転
させ、直結した発電機で電気を起こします。蒸気でタービンを回して発電機
で電気を起こす方法は火力発電や原子力発電と同じ仕組みです。
タービンで使用された蒸気は復水器で温水に、そして冷却塔で冷やされ還
元井と呼ばれる井戸で地中に戻されます。熱源さえ確保できれば1日24時間
稼働できます。資源エネルギー庁によると、地熱発電所の設備稼働率は70%
と高く、日射量や風向き、風量で発電量がぶれる太陽光発電(設備稼働率12
%)や風力発電所(同20%)に比べて安定さで際だっています。
火山国である日本の地熱資源量は2347万キロワットと、米国やインドネシアに次
ぐ3位ですが、実際に発電機を設置した発電設備容量ベースでは、日本は約
54万キロワットと8位に留まっています。地熱は自然が豊かな国立・国定公園内に
多く存在し、開発の制約があります。しかし、環境省が2012年3月、地熱開
発の規制を緩和する方針を決めたことで、自然環境の保護が必要な特別地域
でも地熱発電所の建設や地下に真っ直ぐに掘り進む「垂直堀り」が容認され
そうです。
地熱発電システムは東芝や三菱重工業、富士電気が世界シェアの約7割を
占めています。地熱発電は石油などの化石燃料を使わない地球にやさしいク
リーンエネルギーとしてもその重要性が再認識されていますので、海外に目
を向けてきたメーカー各社が国内市場でも技術を生かせそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2012/10/post_609.html
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