進化するコンクリート
投稿日:2012年09月11日 09:00
コンクリートの原材料は、主にセメントと砂利、砂と水から造られます。
混ぜ合わせると化学反応が起きて、セメントに含まれるケイ素やカルシウム
が水を取り囲むような構造になり強度が出ます。コンクリートを柱や梁など
構造材に使うと、鉄骨造に比べて振動や揺れが小さくなり、消音にも優れて
います。このため居住性を重視するマンションには多く利用されています。
日ごろ目にするコンクリートは現在も進化を続けています。1985年に30ニュ
ートンくらいだった強度は12年後の1997年には60ニュートン、さらに9年後の
2006年には130ニュートン、2011年には160ニュートンと約10年毎に2倍に
なっています。コンクリートの強度は1平方ミリメートル当たり100ニュートンならば
1平方センチメートルで1トンの重さに耐えることができます。
超高強度コンクリートの登場で1985年当時14階建だった鉄筋コンクリート
の住宅が52階建てに耐えられるようになりました。階数だけでなく、建物を
支える柱の本数を減らしたり、細くすることが可能になり、室内も広い空間
や大きな開口部が増えてきました。
コンクリートの強度を高める研究は大成建設や竹中工務店、大林組など各
社が取り組んでいて、材料自体の見直しや養生方法の工夫などで1平方ミリ
あたり300ニュートン(1平方センチあたり3トン)を達成しています。
ただ、超高強度コンクリートにも弱点があり、コンクリートは熱せられる
と内部に溜まった水蒸気が膨張して爆裂という現象を起こします。大成建設
では樹脂の繊維を加えることで、熱せられても樹脂が先に溶けて内部に隙間
を作り、水蒸気になった水を逃がします。実験では摂氏1100度以上で3時間
加熱しても爆裂しましせんでした。竹中工務店では髪の毛よりやや太く、長
さが3センチメートルの鋼繊維を入れて震度7の地震でも表面がほとんど崩れない
工夫をしています。
また、大林組では海の防波堤などに多く使うコンクリートの強度は海水を
使って増加することに成功しています。海水に含まれる硫酸イオンがセメン
トに含まれるカルシウムやアルミニウム化合物と反応して、針状の構造物を
創り、隙間無く詰まることで強度が増加します。コスト面でも海水は現地調
達できること、砂も貝殻片などが混じる海砂を使うと約10%下がります。真
水に比べて強度が55%向上して防波堤用としては高い58ニュートンを出し
ています。
コンクリートの強度が高まっていくメカニズムはまだ解明されていない事
も多く、研究開発はさらに進みそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2012/09/post_596.html
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