洋上風力発電
投稿日:2012年02月07日 09:00
風が強く、比較的遠浅の海が多い欧州では海底に固定する着床式を中心に
した洋上風力発電が拡っています。1990年にスウェーデンが設置したのを皮
切りに、2010年、欧州全体での設備容量は296万キロワットまで拡って、2020年ま
でに4000万キロワットまで開発する予定です。米国でもエネルギー省が国家洋上風
力戦略に基づき、2030年までに5400万キロワットの洋上風力発電を導入して、1520
万世帯に電力を供給する計画です。
一方、日本では北海道せたな町、山形県酒田市と茨城県神栖市の3ヵ所で
着床式洋上風力発電が稼働していて、福岡市の博多湾や長崎県の五島市沖で
海上の浮島に風車を建てて発電する実証実験が始まっています。
博多湾で始まった洋上風力発電の実証実験では、6角形の浮体(プラット
ホーム)に2基の風レンズ風車と太陽光パネルが載っています。浮島はコン
クリートのアンカーで6方向から引っ張って流れないようにして、2メートルの振
り幅の波にも耐えられるようになっています。新型の風車は勢いよく回る羽
根の周囲につばが付いた筒状の輪が取り付けてあり、風車が風を吸い込んだ
後に周囲の流れに渦が生じて気圧が下がり、羽根の先の風速が1.3-1.5倍に
増えて通常の羽根だけの風車に比べると出力が2?3倍になります。
「風レンズ風車」と呼ばれている風車は秒速10メートルで3キロワット出力し、太陽光
パネルと合わせた出力は7.5キロワットになります。1年後には出力200キロワットの中
型風レンズ風車2基を60メートル級の浮体に取り付け、玄界灘に浮かべて試験をす
る予定です。将来は水深100メートル以上の海上に5000キロワット級の大型風レンズ風車
を備えた洋上発電ファームを浮かべる計画になっています。
また、今年春には長崎県の五島市椛島沖1キロにスーパー式と呼ばれるブイ
に風車を取り付た出力100キロワットの浮体式風力発電の実験も始まります。全長
は高さ71メートルで、海面から風車のプロペラの先端までの高さは41メートル、30メートルは海
中に沈んでいて、浮体を3本のチェーンで係留し、海底ケーブルを施設して
73世帯分の電力を賄う予定です。
東日本大震災の被害を受けた福島県の30-40キロ路沖合に2000キロワット級の風力発
電6基で構成するウィンドファームも2014年までに設置して実証実験を行っ
てから事業化する構想があります。
海に吹く風で発電する洋上風力発電は、海底に固定する着床式では水深50
メートルまでの浅い海が限界なので、沖合がすぐ深くなっている日本では浮体式が
本命と見られています。
https://www.lifestyle.co.jp/2012/02/post_561.html
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