再生医療
投稿日:2011年11月01日 09:00
病気やケガで機能を失った体の組織や臓器を再生させる「再生医療」の実
施例が増えてきました。合わせて健康保険で費用の一部がカバーできる臨床
研究や先進医療の分野で治療が受けられるようにもなりました。
再生治療は損傷を受けた生体機能を患者自身や他人から採取した幹細胞な
どを用いて復元させる医療で、肝臓や心臓などの臓器や皮膚、軟骨などの回
復に役立ちます。臓器移植と異なり、ドナー(臓器提供者)不足などを克服
できる革新的治療として注目されています。従来の治療では治療困難とされ
る疾患や障害に対応可能で、広い意味では骨髄移植や人工関節なども含まれ
ていますので多くの実績が積まれてきています。
最先端の再生治療を受けることが可能な枠組みは主に四つあります。一つ
目は保険適用が認められた製品を使う方法です。日本では重傷のやけどを治
療する培養皮膚の「ジェイス」が現在認められていて最も普及が進んでいま
すが、体の表面が3割以上やけどした場合に限られていますので実施例は
100人程度です。
二つ目は先進医療分野があげられます。再生医療の分野は全額自己負担に
なりますが、診察や投薬、入院は保険診療になり、患者の金銭負担が軽減さ
れます。先進医療の対象になる疾患は約120ありますが、再生医療では末梢
血管細胞による血管再生治療などがあります。
脚の血管が詰まる患者は全国に数万人以上いて、症状が悪化すると脚を切
断しなければならなくなりますが、京都大学では昨年から糖尿病などで足の
血管が詰まった患者に対して、血管を造るタンパク質を特殊なゼラチンに含
ませて脚に注射する再生治療を行っています。低コストで安全性が高い再生
治療です。
三つ目は患者が大学などの臨床研究に申し込む方法です。臨床研究では目
的にあった患者しか治療を受けられず、患者数も限られるなど制限が厳しい
ですが、患者の治療費は原則無料です。東京大学医学研究所の人工歯(インプ
ラント)治療を助ける骨の再生治療の臨床研究では骨髄幹細胞と呼ばれる細胞
を患者の腰骨から採取して培養し、あごに移植して骨を再生します。現在、
35件程の臨床研究が承認されています。
四つ目として、健康保険が受けられない自由診療の再生医療では、豊胸や
シワ取りなどの美容整形のほか糖尿病や骨髄損傷の疾患治療などがあります。
但し、安全性の確保がされていない治療や効果が疑わしい治療もあり、100
万円を超える医療費請求や患者が死亡に至るトラブルなど国や研究機関の審
査を経ない未承認の再生医療には注意が必要です。
https://www.lifestyle.co.jp/2011/11/post_544.html
|