長周期地震動

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 長周期地震動

投稿日:2011年09月02日 09:00

 今回の東日本大地震では、地震による建設物の倒壊よりも津波による被害
が甚大でしたが、都心では超高層ビルが大きく揺れました。消火用のスプリ
ンクラーが壊れて水が漏れたり、エレベータに閉じ込められたりする被害も
多く、東京タワーの先端も曲がりました。原因は直下型の地震に比べて周期
が長い「長周期地震動」です。

 長周期地震動は周期が2秒から20秒ほどのゆっくりとした地震の揺れで、
振幅が大きく、長く揺れ続けるのが特徴です。地震発生直後にくるP波(初
期微動)や揺れの大きなS波(主要動)の後に揺れが伝わります。P波やS
波は地殻の内部を通るのに対して、地表面を伝わって遠方まで届きます。ガ
タガタと細かい揺れの後、船に乗っているような大きな揺れが長周期地震動
です。

 震源から遠く離れた大阪府の咲洲庁舎(55階建)でも被害がでた模様で、
1985年のメキシコ地震では震源から400km離れたメキシコ市で高層ビルが倒
壊した事例もあります。新宿を代表する超高層ビルのひとつ新宿センタービ
ル(54階建)では、上層階で1?を超える揺れが続きましたが、構造的に大
きな損傷はなかったようです。

 2003年十勝沖地震(M8.0)の震源から250km離れた北海道苫小牧市のコン
ビナート火災原因や、今回の地震で東京湾岸の石油コンビナートの油が入っ
た施設が揺れ、摩擦熱で火災が起きた原因にもあげられています。長周期地
震動は平野のある堆積層では揺れが増幅しやすく、その周期は堆積層の深さ
に応じて決まります。

 建造物には揺れやすい「固有周期」があり、超高層ビルや石油タンクなど
は周期が長くなり、地震の波が固有周期と一致すると共振して揺れが大きく
なります。長周期地震動はマグニチュードが大きくなるほど発生しやすく、
周期が長くなるほど波が遠くに伝わります。東京、名古屋、大阪の大都市圏
は、みな厚い堆積層の上にあるため、長周期の波が伝わると堆積層内で行っ
たり来たりして揺れが大きくなり、持続時間も長くなります。

 もし、東海、東南海、南海の大地震が連動して起きた場合には、高層部分
の揺れ幅は東日本大地震の2倍を超え、揺れもずっと長く4メートル幅で10分くら
い揺れるビルもあると予想されています。倒壊の恐れはなくとも梁と柱の接
合面が破談するなどの被害が出て、構造部分が損傷して傾いたビルは取り壊
すことになります。

 長周期地震動の影響を受けやすい高さ70メートルから100メートル以上のビルは
全国に約1100棟もありますので、免震装置や制震装置の設置など見直しが
必要になります。



https://www.lifestyle.co.jp/2011/09/post_534.html
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