デフォルトに向かう米国
投稿日:2011年07月28日 17:07
米財務省が定めた、財政赤字上限引き上げの期限である2011/8/2まで、残
り時間が少なくなってきました。アメリカは法律で政府の財政赤字の累積上
限額が決まっていて、これまで赤字が増えて上限に達するたびに、議会が法
定上限額を引き上げて対応してきました。
第二次大戦後、引き上げは100回近く行われてきましたが、今回は、昨秋
の選挙で米議会下院に大量当選してきた共和党の「茶会派」(小さな政府主
義者)の強い反対の結果、5月中旬に上限額(14兆2千億ドル強)に達して
も上限が引き上げられませんでした。
米政府は、財政赤字増ができないまま、8/2以降、流用できる予備的な資
金も枯渇し、完全な金欠(財政難)になると表明しています。
財政緊縮法案は、議会上下院で別々の法案が出されましたが、下院の案に
は上院とオバマ大統領が反対、上院の案には下院が強く反対していて、まと
まっていません。オバマ大統領は上院案に歩み寄ろうとしましたが、7/22に
両者間の交渉は決裂し、状況は振り出しに戻りました。上院は、もう一つ法
案を検討していますが、8/2までには取りまとめられないと言われています。
米民主党は以前、7/22までに上下院とオバマとの3者間で方針を妥結でき
ない場合、8/2の期限に間に合わないと表明していました。7/22の上院とオ
バマとの交渉決裂により、妥結はまったく実現できていない状態です。今後、
上院とオバマが妥結できたとしても、下院の過半数を占める共和党が絶対反
対を貫くでしょう。
下院で共和党の茶会派以外の勢力が反対派から離脱して強行採決に持ち込
んだとしても、絶対反対の茶会派が牛歩作戦などで時間の浪費を画策すると
予測されています。茶会派は長期的な財政赤字削減に向けたショック療法と
して、あえて米国債のデフォルトを誘発した方が良いと考えています。
事態は、すでに8/2の期限に間に合わないことがほぼ確定しています。す
でに連邦航空局など政府機関のいくつかは、財政破綻した場合に備え、要員
解雇の検討などを始めています。
米政府が米国債の利払いを優先し、表向きのデフォルトを避けたとしても、
長期の緊縮策がまとまらないまま財政破綻色が強まると、3大格付け機関は
米国債を格下げせざるを得ない状況です。格付け機関は「米国債がデフォル
トしなくても、米政府が緊縮策をまとめられずに赤字が拡大していく場合、
米国を格下げせざるを得ない」と以前から表明しています。何が起きるか起
きないか、一両日中には見えてきそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2011/07/post_526.html
|