黒鉱

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 黒鉱

投稿日:2011年03月09日 09:00

 2010年、沖縄沖で日本の海洋探査船「ちきゅう」が鉄や銅など豊富な資源
を含むと見られる「黒鉱(くろこう)」という鉱物を水深約1,100メートルの海底
を掘削して発見しました。国内最大級の埋蔵量は日本の海洋資源として注目
されています。探査船「ちきゅう」は、海洋研究開発機構が保有する世界最
大の海洋掘削船で、全長210メートル、重量約56,000トン、海底を最長10,000メートル掘削
出来、コンピューター断層撮影装置(CT)も搭載しています。

 黒鉱は外見が黒い鉱石の総称で海底の熱水から溶け出した硫化物などが堆
積して出来ます。今回、沖縄北西部の伊平野(いへや)北熱水域で見つかっ
た黒鉱は、2010年9月から10月上旬まで、水深1,000?2,000メートルの海底を深さ
数十メートル?150メートル掘って回収しました。掘削の目的は海底に生息する生物種の
研究でしたが、海底が予想とは全く異なっていて、偶然に黒鉱が発見されま
した。鉄や銅、亜鉛、銀が確認され、金やレアメタル、レアアースの類も含
まれている可能性があります。

 伊平屋北熱水域は、太平洋にあるフィリピン海プレートが日本海に載るユ
ーラシアプレートに沈み込む一帯で海底火山が多くあり、周囲に比べて水深
が深くなった沖縄トラフには、摂氏300?350度の熱水が海底の複数の場所か
ら噴き出しています。海底に潜り込んだ海水が地球のマグマで熱せられて熱
水流となって熱水噴出口から吹き出し、東京ドーム80杯分に相当する大量の
熱水が湖のように貯まっています。噴出口から周囲約2キロメートル、深さ数百メートルの
地層は、砂や泥で出来た堆積物と軽石が交互に重なり合っていて、熱水が地
下深くからこれらの層を通って噴出します。

 軽石はすぐに溶けてしまいますが、堆積物は溶けにくいので熱水が流れに
くくなり、湖のように貯まります。この後、熱水が海底の近くで冷やされて
溶け込んだ成分が析出し、黒鉱になります。さらに熱水の流れは、噴出口の
周囲から金や銀などの有効成分をかき集める働きがあると見られています。
レアアースなどの価格が高騰してくると、海底の比較的浅い場所で確認出来
る黒鉱は、貴重な鉱物資源になると予想されます。伊平屋水域は日本の排他
的経済水域ですから日本単独での資源開発が可能です。

政府は2011年から日本最東端の南鳥島近海でレアメタルやレアアースを豊
富に含む「コバルトリッチクラスト」と呼ばれる鉱床の調査に乗り出します。
深海はまだまだ謎が多く、思わぬ発見が期待できそうです。



https://www.lifestyle.co.jp/2011/03/post_489.html
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