プラスチック新時代
投稿日:2011年02月21日 09:00
プラスチック新時代
1868年に米企業が石油を主原料として開発したプラスチックは、今や身の
回りのあらゆる場面に使われています。1907年には、米化学者が工業プラス
チックを開発、1971年には日本で炭素繊維強化プラスチックを販売し、2004
年にはNECがパソコンに生分解性プラスチックを採用するなど材料も進化
しています。一層の軽量化や使い勝手の良さを目指して進化を続けています
が、次世代の超高速通信網や映像システムに対応できる優れた材料としても
脚光を浴びています。
温暖化問題への関心の高まりから、石油に由来せずにポリ乳酸などを使う
生分解性プラスチックの開発が1990年代から本格化しました。微生物が水と
二酸化炭素に分解しますから廃棄物の問題解決に期待が寄せられていますが、
コスト高が普及のネックになっています。
現在、家庭で使えるネットでの通信速度は光ファイバーを使って最速で1
Gbpsですが、慶応大学の小池教授がプラスチック光ファイバーの実験で40
Gbpsの通信に成功しています。これは映画一本分のデータを1秒で送信で
きる速さで、プラスチック材料の進化は生活の場面で様々な変化をもたらし
ます。
光ファイバー内を通る光信号は、送った順番通りに到着しないと映像など
は正しく再現できません。光信号の所要時間に差があると通信速度が遅くな
りますので、プラスチックの性質をうまく利用して、ファイバー内での光の
反射角を制御して所要時間の差を抑えます。
いずれはガラス製からプラスチック製に置き換わると予想され、将来は10
倍以上の通信速度の超高速インターネット回線が可能になります。また、映
像等を大画面に鮮明に映し出すシステムも欠かせません。液晶テレビは背後
の光源から光を照射し、画面を表示します。この「バックライト」の光源で、
光を送り込む導光板に特殊なプラスチックを使い、明るさを従来の2倍に高
める技術も開発されています。
他では残額や累計ポイント、お店の情報などをカードに表示するディスプ
レイ付きの決済ICカードや、カード電源などの利用に適した、薄くて折り
曲げ可能なプラスチック蓄電池の開発も進んでいます。工業製品の構造材と
しては、車体重量の6割がプラスチックという未来カーが三菱化学のショー
ルームにお目見えしました。既存車もバンパーやダッシュボードなど重量の
1割はプラスチックになっていますが、一般的なセダンの車体重量1400Kg
が400Kgほど軽くなりますから燃費の改善につながります。
プラスチックは今後も進化していきそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2011/02/post_476.html
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