地中熱空調
投稿日:2010年11月15日 09:00
オフィスビルや商業施設の空調システムに冬は外気より暖かく、夏は冷た
い地中熱を利用すると、冷暖房に使う電力が減り、CO2の排出量を3?5割
削減できそうです。鋼管製の杭を地下数10?から100?程度まで掘削して埋
め、杭の中に熱交換用のパイプを通して水を循環させます。冬は地中熱で暖
まった水をポンプで汲み上げ、交換器で熱エネルギーを取り出して暖房に利
用します。夏は地中で冷やされた水を冷房に活用します。既存の施設を使っ
た実験では通常のエアコンに比べ消費電力を約4割削減できました。
大林組では、場所打ちコンクリート杭の周囲に地中と熱交換する配管(樹
脂製のチューブ)を取り付け、その配管に水もしくは不凍液を循環させるシ
ステムを開発しています。杭を利用すると掘削費が不要になり、従来の地中
熱空調システムに比べ、イニシャルコストを大幅に削減できます。土地の掘
削にかかる費用も工法の改良で3?4割削減でき、周囲に熱伝導率の高い充
填剤をまいて熱交換効率も高めます。大気に空調排熱を放出しないので都市
部のヒートアイランド抑制につながり、空調用の機械を効率良く運転できま
すから省エネルギーでランニングコストも安くなります。
三菱マテリアルテクノでは、寒冷地の道路融雪用やビニールハウスの暖房
用として販売してきた地中熱利用システムの実績を活かしてオフィスビルへ
の利用を目指しています。
日本では導入するメリットが薄く、地中熱を利用した施設は500件程度に
留まっていましたが、2020年の温暖化ガスを1990年比で25%削減する目標を
政府が掲げたことから、各自治体も大型事業所に対してCO2の削減義務を課
すところが増えてきそうです。オフィスビルへの地中熱システム設置は、新
エネルギー・産業技術総合開発機構の助成対象になりますから、この助成金
を活用すれば10年程度で初期費用の回収が見込めます。
https://www.lifestyle.co.jp/2010/11/post_458.html
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