脱・希少資源

ライフスタイル総合研究所



 脱・希少資源

投稿日:2010年11月12日 09:00

 世界中が争奪しあう希少資源。代表格がレアメタルで、天然の存在量が少
ない金属や、存在量が多くても精錬が技術的に困難な金属を指します。イン
ジウムやリチウム、コバルトなど31種類が指定されていて、このうちの1種
類がレアアース(希土類)です。

 産業のビタミンとも呼ばれるレアメタルやレアアースはハイテク産業に欠
かせない物質で、その高い性能は家電や自動車などに広く使われています。

 問題はレアアースのほぼ100%が中国、プラチナの80%近くが南アフリカ
で生産されているので、新興国の経済成長や産出国の政情不安により価格の
高騰や安定調達が危ぶまれることです。

 資源の乏しい日本にとって希少資源の確保は難しい問題ですが、逆に好機
になるとの見方もあります。レアメタルを減らした高性能な製品を開発でき
ればコスト競争力が高まり、海外に売り込むこともできます。

 ナノテクノロジーや先端技術を駆使して、希少な金属を汎用金属のような
ありふれた材料で代替する技術開発が急ピッチで進んでいます。大きな流れ
としては、生産量が最も多く安価な鉄の活用です。三菱電機は鉄を主成分と
したフェライト磁石だけでも強い磁力と耐熱性を発揮できる磁石を開発しま
した。ブレーキをかけたときに電気エネルギーを動力に変換する効率は93-
94%に高まり、ハイブリッド車や電気自動車に使える性能にまでなっていま
す。

 電極に使われているインジウムについては、安価な酸化亜鉛で代替する技
術が研究されていて、電極のインジウム使用量を40%減らした液晶テレビも
試作されています。亜鉛は生産量も多く、価格はインジウムの1/100ほどで
済みます。

 京都大学の研究室では、液晶材料や医薬品原料の製造に多用されている化
学処理分野で、従来のコバルトやニッケル、パラジウムから、鉄に塩素や有
機物を付けた特殊な分子の触媒を開発して、製造コストを約2割削減してい
ます。

有効な金属の回収では都市鉱山とも呼ばれ、日本の使用済み携帯電話など
に含まれるインジウムやタンタルなどの資源量は世界の埋蔵量の1割を超す
との試算もあり、回収技術の向上に取り組んでいます。

 「ありふれた金属=古くさい」といった常識にとらわれない挑戦と研究は、
金属の代わりに炭素や有機高分子などの豊富で安い材料を利用する研究にも
拍車がかかります。資源難の時代を乗り越える新しい技術が生まれてきそう
です。



https://www.lifestyle.co.jp/2010/11/post_451.html
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