次世代原発
投稿日:2010年09月06日 09:00
温暖化ガス排出の少ない原子力発電が注目され、次世代原子炉の研究に弾
みがついています。中国など新興国で原発の新設が増え続け、先進国でも
2020年ごろから既存の原発の建て替えが本格化してきます。安全性をいっそ
う高めたり、小型化して経済性を向上させたりするなど複数の新型炉が性能
を競い合っています。
国際原子力機関(IAEA)によると、世界の原発の発電能力は2030年に
は今の最大2倍に増え、特に中国やインド、中東などで急増予定です。先進
国でも既存の原発の寿命は約60年とされ、米国では20年代、日本でも30年代
から順次建て替えが必要になってきます。
「第4世代原子炉」のなかでも6種類が有望で、日本は「高温ガス炉」と
いうヘリウムガスを使い、熱を取り出す方式に力を注いでいます。水を循環
させないので配管を簡素化でき、非常時に水を注入する従来型と違いガスの
対流で炉を冷やすので安全性が高くなります。
中小型の20万-30万の高温ガス炉は今の原発より低コストで発電でき、
熱を利用することも可能です。有望なのが水から水素を作る方式で、水素は
燃やしても水になるだけですから、次世代の燃料電池車で注目されています。
電気分解で作る方法はコスト高になので、高温ガス炉で加熱した水にヨウ素
や硫黄を混ぜて水素を分離する技術を開発してコストを低く抑えています。
米国マイクロソフトのビルゲイツ氏と東芝が次世代原子炉の開発で手を結
んだことは記憶に新しいですが、ゲイツ氏が目をつけたのは、東芝と電力中
央研究所が共同で2014年に実用化を目指す小型原子炉「4S」です。4Sと
は小型=Small、単純=Simple、極めて安全=SuperーSafeの頭文字4つに由来
します。
出力は最大5万と通常の原発の20分の1以下ですが、30×50の敷
地に設置でき、容積比では既存の原子炉の30分の1にも満たないのが特徴で
す。コンパクト化の秘密は、炉心の熱を取り出すのに液体ナトリウムを使う
点です。
原子炉は通常、ウランの核分裂で生じた熱で高温・高圧の水や水蒸気を作
り、発電タービンを回します。160気圧に達する水を漏らさないようにする
には頑丈な配管が必要で、炉心の周りを太い配管やコンクリートで取り囲み
ますから、大型の設備が必要になります。
一方、液体ナトリウムは水に比べて熱を3倍も蓄えやすく、圧力を高めなく
ても高温にできますから配管も単純化できます。4Sは高速の中性子により
金属ウランをじわじわと燃やしますので、燃料は30年間交換せずに運転でき
るそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2010/09/post_439.html
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