太陽熱発電
投稿日:2010年08月18日 09:00
自然エネルギーを利用した発電として風力発電や太陽光発電がありますが、
太陽の熱で発電する太陽熱発電は、太陽光発電よりも効率が良く、欧州、中
東、中国などで新たなエネルギー源として注目されています。 現在、北ア
フリカや中東の砂漠地帯、スペイン南部などに太陽熱発電所を造り、欧州に
送電する計画が進行中です。2050年までの総工費は4000億ユーロ(約53兆円)
で、鏡の焦点に集めた太陽の熱や光で摂氏380-600度の熱を作って蒸気ター
ビンを回します。
仕組みはシンプルですがエネルギーを電気に変える効率は約20%と太陽電
池の15%を上回ります。2014年には太陽熱発電の出力は太陽光発電の4分の
1にあたる1500万、原子力発電所15基分に相当すると予測されています。
未来の巨大市場で先頭を走るのは太陽熱用タービンで9割のシェアを持つ独
のシーメンスですが、GE(ゼネラル・エレクトリック)も太陽の動きに合わせてオン
とオフを素早く切り替えるタービンを開発し追い上げています。
旭硝子は通常の鏡より反射率が5ポイント以上高い95%を超える凹面鏡を
開発し、太陽熱発電所向けに供給しています。東芝は火力に比べ低温の蒸気
に対応した新型タービンを開発しています。また、コスモ石油と東京工業大
学がアラブ首長国連邦で太陽熱発電の実験を始めます。鏡で光を一カ所に集
め、その熱で発電するビームダウン型と呼ばれる方式です。主要な設備は鏡
で、太陽電池のように高価な半導体のパネルを使わないため、初期投資が少
なくて済みます。
熱をため込む特殊な液体(溶融塩)を鏡で集めた光で600度前後に温めま
す。この熱で水蒸気を発生させ、発電タービンを回す仕組みです。従来の地
上の鏡で上空に光を集めるタワー方式に比べて発電コストは2割以上削減で
きます。今回の方式は地上の鏡で光を上空に反射させ、さらに上空のセント
ラルリフレクターと呼ばれる中央反射鏡で地上に光りを送り返し、地上に集
熱装置を設けていますので、設備の維持が簡単になりました。
今後、電力需要が増える新興国には、土地や日射量に不自由しない地域が
多く、発電コストが割安な太陽熱発電は太陽光や風力と並ぶ自然エネルギー
の中核になりそうです。中東やアフリカ諸国が太陽熱発電に注目しています
ので、日本の新技術を売り込みたいところです。
https://www.lifestyle.co.jp/2010/08/post_431.html
|