スマートグリッド

ライフスタイル総合研究所



 スマートグリッド

投稿日:2010年05月19日 09:00

 IT技術を使って家庭や企業の電力使用状況を把握し、賢く高度な制御機
能で電力の安定供給を実現する次世代送電網「スマートグリッド」の構築を
米国と欧州を筆頭に各国が乗り出しています。

 米国が目指すのは「スマートメーター」と呼ぶ次世代検針器の普及で、す
でにオバマ政権が、約40億?の拠出を決めています。米国は通信機能付きの
スマートメーターの一部世帯への設置を始めていて、家庭単位で電力の消費
や管理を随時測定し、効率よく送電・配電する仕組み作りに取り組んでいま
す。民間企業や自治体などが主導する100件程度の事業に財政支援すること
から始め、2013年には2600万世帯への普及を目指しています。

 環境関連産業は将来の米国経済を牽引する柱の一つと見ていて、同分野へ
の投資で約4万3000人の雇用創出を見込んでいます。米国がスマートグリッ
ドの研究に熱心なのは、2003年8月のニューヨーク大停電が一因にもあげら
れるように、送電網の老朽化が目立ってきたという事情もあります。

 英国は2020年を目標にスマートメーターを2600万世帯に備え付け、発電と
送電を効率化してCO2の排出量削減につなげます。風力発電など再生エネル
ギーと組み合わせた実験も本格化してきました。北部のオークニー諸島では
日本風力開発が現地の電力会社と協力して、蓄電池を使って送電網を安定さ
せる基幹技術を提供しています。

 自然エネルギーを使った発電所の発電は不安定なため、発電量と需要量と
の調整に日本ガイシが製造するナトリウム硫黄(NAS)蓄電池を使います。
4000??の蓄電能力分の設置ですが今後1万??まで引き上げる予定です。

 ドイツやフランスでも風力発電など出力の安定しない電力の活用にはスマ
ートグリッド計画が必須とのことで、電気自動車の実証実験とも組み合わせ
て電力消費の最適化を検証し始めました。

 韓国でも政府の支援を受けた民間企業のLG電子やポスコ、現代重工業、
SKテレコムなど168社が韓国南部の済州島で6000世帯を対象にスマートグ
リッドの実証実験を進めています。192億円のうち約30%を政府が支援して
います。

 我が国でも群馬県太田市にある「パルタウン城西の杜」で全777区画のう
ち550戸以上に国の補助金で太陽光パネルを設置して実証実験に取り組んで
います。太陽光パネルの合計は2129??あり、家庭で使う電力を賄って、余
った分は電力会社に売る仕組みです。

 エネルギーの利用効率を大幅に高めるスマートグリッドは気候変動の要の
ひとつで、エネルギーを減らせるほか電力の安定供給にもつながります。将
来は家電や電気自動車などにもメーターや通信機能が組み込まれることが予
想され、電気メーカーやインターネット産業に与える影響は大きく、日、米、
欧始め自国に有利な国際標準の獲得を狙って先行投資が始まっています。



https://www.lifestyle.co.jp/2010/05/post_408.html
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