サイバー攻撃

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 サイバー攻撃

投稿日:2009年12月14日 09:00

 インターネットを経由して政府機関やインフラ事業体、金融機関などのコ
ンピューターシステムに進入し、システムを破壊したり障害を発生させ、機
能を麻痺させるサイバー攻撃が増えています。電気や水道の供給、交通シス
テムや金融機関のシステムに障害を起こすなど、国家規模での被害も出てい
ます。

 パレスチナ自治区のガザをイスラエル軍が攻撃した今年1月には、ネット
上のサイバー空間でも別の戦いが繰り広げられていました。侵攻直後からイ
スラエル政府のサイトをはじめ、主要紙のホームページの改ざんや銀行のシ
ステムへの侵入など、50万台のコンピュータからの攻撃で業務の混乱を招き
ました。

 攻撃の発信源は「Eジハード(電子の聖戦)」と名付けたモロッコやチュ
ニジアなどイスラム諸国の反イスラエル的な考えを抱く「ハッカー」たちと
みられています。

 アメリカでも2009年の7月4日の独立記念日にホワイトハウスと国防省だ
けでなく国務、財務、運輸、国土安全保障の各省のウェブサイトに何者かが
一斉に攻撃を開始し、一時は接続障害が発生しました。また、韓国でも同日
夕方から9日の夜まで3回、同じ手口の攻撃が、大統領府や国防省、国会の
ほか主要銀行にありました。

 両国とも手口は、不正な手段で個人のパソコンに事前に埋め込んだプログ
ラムが一斉に攻撃対象にアクセスし、システムをダウンさせる「DDOS」
という手法でした。韓国では北朝鮮の朝鮮人民解放軍内の「110号研究室」
というサイバーテロ部隊が長期的に計画したテロ戦争との見解を出していま
す。

 このように国家規模での被害も相次いでいて、社会の情報化が進んできた
副作用としてサイバー攻撃へのもろさも露呈しています。特定の政治目的を
もったテロ組織による攻撃のほか、個人による愉快犯的な攻撃もあり、攻撃
主体を特定することはなかなか難しいようです。

 各国政府はサイバー空間を陸海空と宇宙に続く「第5次元の戦場」と位置
づけ、サイバー防衛のための部署を新設するなど新たな対応に乗り出してい
ます。日本も様々な被害を受けていて、防衛省は統合幕僚監部にサイバー企
画調整官のポストを設けたり、「サイバー空間防衛隊」の新設を検討してい
ます。

 サイバー攻撃を仕掛けてきそうな相手としてはテロや犯罪組織、外国の情
報機関、プロのハッカーから学生のハッカーまでと幅広く、つかみ所がない
のが現状です。うかつに先制攻撃をかければ、その被害が仮想敵にとどまら
ずネット社会全体に無用に拡大してしまう危険性もあります。

 今後もサイバー攻撃は増加する傾向にあり、攻撃に対する防御はもとより、
サイバー攻撃を規制する条約や国内法の整備も急がれます。



https://www.lifestyle.co.jp/2009/12/post_373.html
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