|  室温超電導投稿日:2009年07月08日 09:00 
  1911年にオランダのライデン大学が水銀を?269度に冷やして、電気抵抗がゼロになる超電導現象を発見しました。その後、1987年に?196度の安価
 な液体窒素で使える酸化物が発見され、超電導の用途が広がってきました。
 現在、最も普及しているのが病気の診断に使う磁気共鳴画像診断装置(MR
 I)です。
  超電導磁石で発生した強い地場を体に当て、体内部の断層写真を撮影します。この極めて低い温度まで冷やさなければ電気抵抗がゼロにならないはず
 の超電導材料を冷やさなくてもいい、「室温材料」の研究開発に期待が高ま
 っています。
  1987年の発見で、超電導が普及して生活が一変するとの期待から、超電導フィーバーが起きましたが、その後は臨界温度がなかなか上がらず、研究も
 下火になってしまいました。そんな中、室温への期待が再び高まってきたの
 は、日本や中国で新しい超伝導物質が発見されたからです。現在はまだ
 ?200度程度ですが、超電導になる銅酸化物を高性能の電子顕微鏡で調べた
 結果、30度の室温でも超伝導になる可能性が見えてきました。
  実用面での動きとして、まだ液体窒素などで冷やす必要はありますが、大幅な省エネ効果が見込めることから、大電流を送るケーブルで実験が始りま
 す。東京電力と住友電気工業、前川製作所は2010年から横浜市の旭変電所で
 国内初の超電導ケーブルを使って送電する実験を始めます。将来は東京電力
 の高電圧金属製地下ケーブルに取って代わる予定です。
  現在の金属ケーブルでは、送電中に発生する熱が約4万??、10万世帯分の電力が失われています。超電導ケーブルを使うと電力ロスが半分に、室温
 材料のケーブルに変わると電力ロスはほぼゼロになり、国内の原子力発電所
 数基が不要になるとも言われています。
  短い電線の普及面では、中部大学の山口研究室とナノオプトニクス研究所が300?400?の超電導送電システムを開発しています。2年後には、インタ
 ーネットのデータを処理する大手データセンターに設置して、消費電力の最
 大40%削減を目標にしています。
  JR東海は超電導リニアの商業運転を2025年に開始する予定です。超電導リニアは超電導磁石を車両本体の左右に配置し、路面の側面に設置した磁石
 との反発力と吸引力で車両を浮上させます。これまでに銅酸化物の高温超伝
 導磁石を取り付けた山梨県の試験走行区間で、時速554??を問題なく走行
 していますので、室温超電導ができれば、冷却が不要になり車両はさらに単
 純な構造で軽量にすることが可能になります。
  室温超電導が登場すれば、送電線や太平洋を横断する海底のケーブルの超電導化、電力貯蔵装置への応用など、世界的に深刻なエネルギーや環境問題
 が改善されるでしょう。
 
 
  https://www.lifestyle.co.jp/2009/07/post_329.html
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