残留農薬の基準値

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 残留農薬の基準値

投稿日:2009年04月17日 09:00

 中国製冷凍餃子の有機リン系殺虫剤:メタミドホスによる中毒事件や冷凍
食品から基準値を上回る有害物質の検出など、残留農薬の報道をよく耳にし
ましたが、そもそもその基準値はどのようにして決められているのでしょう
か。

 残留農薬の基準値は農林水産省によって定められていますが、2006年以前
は原則として残留禁止の農薬の種類を示すだけでした。改正後は残留を認め
る種類と量を基準値で示し、残留農薬の基準が厳格化された結果、基準値を
超えた場合には流通禁止になります。

 農薬の残留基準はどうやって決めるかというと、基になるのは体重1?当
たりの一日摂取許容量(ADI=Acceptable Daily Intake )です。人が生
涯にわたって摂取しても有害な作用を受けないと考えられる、化学物質の1
日当たりの最大摂取量のことで、化学物質の体重kg当たりの用量(mg/kg/日)
で表されます。

 農薬ごとに長期摂取など様々な条件を設定し、3世代に渡って動物実験を
実施し、生涯摂取し続けても次世代を含めて健康被害がない「無毒性量」を
算出して、その数値を100分の1にしたのがADIです。その上で人の安全
な摂取量はADIの80%以下と決められています。

 一つの農薬は複数の農作物に使われていますから、様々な食品の摂取する
量をADIの80%以下にする必要があります。

 そこで、厚生労働省の国民栄養調査から、国民が一日に食べる食品のそれ
ぞれの摂取量と残留試験の結果を基に農薬摂取量を推定して、同じ農薬を使
う全ての食品を毎日食べ続けても安全な残留量として、農作物ごとに割り振
ったのが残留基準です。ただ、基準値を上回っただけではすぐに健康被害を
受けるとは限りません。

 残留農薬による過去の事件では、昨年10月に量販店で販売された冷凍イン
ゲンから6900ppm(ppmは100万分の1)の濃度の農薬ジクロルボスが検出され
ました。基準値を約3万4500倍上回る量が検出されましたので、健康被害の
恐れがあると報じられました。ジクロルボスのADIは0.033??で、イン
ゲン1??あたり6.9?に相当します。

 体重60?の人なら一日に摂取できる量は0.198??です。冷凍インゲンで
検出された濃度は0.03?食べただけでADIを上回る量になり、少量でも口
に含むとしびれや吐き気を感じる量で、健康被害の起こる可能性がありまし
た。

 消費者は農薬などの化学物質を避けたいと思いますが、過剰に反応してし
まうと食品の需要や供給に支障が出てきます。野菜や果物は水につけておい
たり、よく洗って皮をむくなどして見た目や臭いで異常を感じ取ることが大
切です。

残留農薬の基準値は日本食品化学研究振興財団のHP
http://www.ffcr.or.jpで調べることができます。



https://www.lifestyle.co.jp/2009/04/post_307.html
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