黄金比と白銀比
投稿日:2009年01月19日 09:00
黄金比とは、デザイン的にもっとも美しいとされる比率のことで、
1:1.618ぐらいです。自然数にすると約5:8の割合になります。古代ギ
リシャ時代から建築物や美術などに活用されてきました。例えば、長方形に
おいては数ある長方形の中でも最も美しいのが、この2辺の比の長方形とい
われています。身近な品物では名刺やトランプなどカードの類やたばこの箱、
新書版などがあります。コンパクトなデジタルカメラなどなじみやすいもの
にも黄金比が採用されています。
建造物ではピラミッドの底辺と高さの割合、パルテノン神殿の前面の各部
が黄金比を元に構成されています。古代ローマのコンスタンティヌスの凱旋
門やパリのエトワール凱旋門も中央開口部の高さと全体の高さが黄金比で構
成されています。美術品ではミロのビーナスのおへそから上と下、モナリザ
の顔も縦と横が黄金比になっています。
一方、日本では黄金比の知識がありませんでしたので、古典的建築物には
積極的に活用されることはありませんでした。古くから大工さんたちの間で
は神の比率と称されている白銀比(別名:大和比)があります。法隆寺の五
重の塔の平面図における短辺と長辺や四天王寺伽藍の敷地の短辺と長辺に採
用されています。割合は1:√2=1.412で約5:7の比率になります。
大工さんが使う指矩(サシガネ)は裏目として角目(√2を掛けたもの)
が刻まれていて、丸太から最大の方形角材を製材するときの寸法取りに利用
されています。身近なところでは用紙サイズA版、B版があります。用紙を
長手方向に半分にした時に元と相似の形状となり、大きな用紙を切るだけで
同じ規格の小さな用紙になります。A版の用紙は折っても折ってもA版の用
紙になります。
東大寺の柱などはギリシャ的要素が含まれていますから、最初は黄金比的
な感覚だったのが日本では大和比的に変わって活用された可能性があります。
家の窓の大きさや配置などデザインを検討するときに、黄金比や白銀比を使
って検討してみると面白いかもしれません。好みもありますが、日本人には
白銀比のほうがしっくりくると思いますので試してみてはいかがでしょうか。
https://www.lifestyle.co.jp/2009/01/post_290.html
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