注目される北欧
投稿日:2008年07月11日 09:34
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドにデンマークとアイスランドを加えて北欧5カ国といいます。現在、この国々の成長力や競争力が注目されています。
2006年の一人あたりのGDPの比較では、ノルウェーの2位を筆頭にスウェーデン、フィンランド、デンマークも10位以内に入っています。2005?2006年のスイスの世界経済フォーラムの調査による国際競争力ランキングではフィンランドが1位、スウェーデンが3位、デンマークが4位、アイスランドが7位、ノルウェー9位となっていて、日本は12位にランキングされています。
北欧諸国は「社会民主主義型国家」といわれる体制で、主な特徴として経済政策及び社会政策として完全雇用が目標になっています。全市民が基本的社会保障の給付とサービスを受けられ、サービスはほとんど税金で賄っています。また、所得格差が比較的小さいため、貧困率と生活水準格差も小さいのが特徴です。女性議員や閣僚も多く、地方分権、男女平等が進んだ国といえます。
「高福祉高負担」「人材育成に手厚い援助」といった国の方針が実を結んできたことが大きく、手厚い社会保障は成長を阻害するとよく言われますが、徴収された税金や社会保険料は年金、医療、介護、雇用、教育の費用として還元されますので、北欧の国民に不満は無いようです。
むしろ高齢化が進むと福祉充実の要望は高まりますので、それに応える形になっています。手厚い社会福祉は肥大化して非効率になることもありますが、それを防ぐために国、県、市町村による分権化の徹底と国民の監視が行き届いています。
また、政治、経済、社会のあらゆる分野で国のクリーンさを図って指標化した世界透明度ランキングでは10位以内に北欧5カ国全てが入っています。因みに日本は17位でした。教育分野でも、OECDが実施した学習到達速度調査(PISA)ではフィンランドが学力世界一に輝いています。
これは各国の15歳を対象に2000年から3年ごとに実施される国際テストの順位ですが、他の3カ国も常に上位を占めています。残念ながら、日本は逆に順位を下げています。
また、環境対策面ではアイスランドが1999年に世界で初めて「世界水素立国」を宣言、エネルギー供給の内、地熱や水力による発電が72%を占めています。スウェーデンではバイオエタノールやバイオガス、天然ガスの利用を率先して推し進め、ノルウェーではほぼ100%が水力発電です。
デンマークでは総電気量の12%を風力で賄い、フィンランドでは1990年に炭素税を取り入れるなど、自国には不利になっても環境を守ろうという国自体の意識の高さが際だっています。
かつては病める福祉大国と批判的に見られることも多かった北欧諸国ですが、最近は小さくても光る国との見方が増えています。
https://www.lifestyle.co.jp/2008/07/post_264.html
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