200年住宅構想
投稿日:2008年04月21日 09:37
昨年10月に福田首相が「200年住宅」の普及に取り組むとの所信表明演説を受けて、政府も実現に向けて具体的に動き出しました。
200という数字には特別な意味があるわけではないようですが、「超寿命の住宅」を象徴しています。環境問題を最重要課題のひとつに掲げる福田政権は、住宅の寿命を延ばして廃棄物を減らすことを目指しています。
木造2階建て、延べ床面積約120?の住宅を解体すると数十トンのゴミが発生します。住宅の解体や改築で発生する廃棄物は国内全体で1年間に約1400万?に達するともいわれています。解体と建築を繰り返すよりも、耐久性を高めて長期間使った方が廃棄物を減らすことができます。自民党の試算では、仮に国内すべての住宅を200年間使い続けたとしたら住宅関連の廃棄物は年間1000万?減る計算になるようです。
法案では200年住宅を
1.耐震性に優れていること
2.高品質の骨組みなどを使って耐久性に優れた頑丈なつくりにすること
3.ライフスタイルの変化に応じて間取りを変えられること
などと定義しています。また、家の所有者が20年ごとにしっかり点検して、必要に応じてリフォームを繰り返しながら、その上で、家の相続や売買によって所有者が世代を超えて交代していく超寿命住宅を目指しています。
政府は200年住宅を普及させるため、まずは2008年度に130億円を投じて助成制度を設け200年住宅の建築に補助金を支給する方針です。固定資産税を50%に減額する特例処置を一般住宅より2年長い5年にするなど税制優遇も盛り込むなど具体的なガイドラインを作成していますが、取得時の消費税軽減など、より一層の税制面での優遇が必要との指摘もあります。
現在は20年?30年たった中古住宅は資産価値が大幅に下がり、売っても土地代にしかならないということがよくあります。200年住宅は通常の家よりも建築費はかかりますが、適切な価格で次の所有者に売れるのなら、長い目では負担を抑えることができます。頑丈に建築することと、定期的に点検とリフォームを重ねることが肝心になります。
また、普及させるには中古住宅を売買する市場の充実が必要不可欠となります。政府は中古住宅をきちんと評価するための「住宅履歴書」の導入を検討しています。設計図や保守点検、リフォームの履歴書で、その家の価値を客観的に正しく評価することが狙いです。
住宅の超寿命化は、環境に配慮した省資源につながりますが、住宅の着工戸数は減少していくと予想されます。今後は、住宅の保守点検やリフォームに重心が移っていくでしょう。
https://www.lifestyle.co.jp/2008/04/post_258.html
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