家電リサイクル法の見直し
投稿日:2007年11月26日 09:36
2001年4月に施工された家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)によって冷蔵庫・冷凍庫、エアコン、ブラウン管テレビ、洗濯機の4品目がリサイクル法の対象になりましたが、ここへきて対象品目の拡大と料金の引き下げが検討されています。
現在、対象品目の廃家電は、小売店に一定のリサイクル料金と収集運搬費を支払って引き取ってもらいます。小売店はその廃家電をメーカーに引き渡し、メーカーはその製品からまだ使える部品や原材料を取り出して、新製品に一定量を使うことが義務づけられています。
この法律は、廃棄量を減らすことと再利用できる原材料の有効利用を計ることが目的でした。施工から5年後に見直すことが盛り込まれていたため、環境省と経済産業省が昨年から検討してきました。対象品目に液晶やプラズマなどの薄型テレビと衣類乾燥機の2品目を来年度以降に加えることと、冷蔵庫・冷凍庫、ブラウン管テレビのリサイクル料金を引き下げる方向のようです。
廃家電のリサイクル状況は、2005年に不法投棄が15万6000台と法が施行される前に比べて3割も増加しています。メーカーまできちんと引き渡されたのは約半分に過ぎず、残りは不法投棄されたり、中古市場に流れたりしているのが現状です。不法投棄が多い理由の背景には、リサイクル料金を払いたくない消費者の存在があります。
2011年に地上アナログ放送が終了するのを控えて、地上デジタル放送を受信できないテレビが大量に不法投棄される恐れがでています。料金を下げて適正なルートで回収される廃家電を増やすことと、薄型テレビと衣類乾燥機も近い将来、大量に廃棄されることが予想されますので、効率的な回収と液晶パネルに含まれるインジウムなどの希少金属の再利用を促す狙いがあります。
現在のリサイクル料金は冷蔵庫が4830円、エアコンが3150円、ブラウン管テレビが2835円、洗濯機が2520円といった金額になっていますが、リサイクル料金は国ではなくて家電各社が決めていることに問題があるようで、リサイクルにかかる料金の透明性が必要になります。
また、資源の有効活用を考えると、小型の家電製品も対象に加えるべきだとの意見もあります。不法投棄の増加を受けて、後払いから前払い制の導入の検討もありましたが、廃家電の約半分がリサイクルに回っていない現状から、リサイクル料金をあらかじめ前払いしても消費者の支払い損になるとの判断から今回は見送られています。
廃家電が海外に流出し、鉛などの有害物質がきちんと処理されずに廃棄される問題も起きています。今後は資源の有効活用・不法投棄の撲滅だけでなく、アジア近隣諸国とのリサイクル制度整合性も含めて根本的な制度の見直しや議論が必要となるでしょう。
https://www.lifestyle.co.jp/2007/11/post_237.html
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