共同出資で高齢者施設
投稿日:2007年11月21日 09:30
地域の住民が資金を出し合って高齢者施設を建設する動きが広がっています。新たに計画する高齢者施設の建設に対して、地元に密着して高齢者のケアに長年取り組んできたNPO(特定非営利活動)法人を支援する形で、地域の住民が資金の提供をするケースが増えてきました。
代表的な例が、神奈川県藤沢市のNPO法人「グループ藤」が建設する「グループ藤一番館・藤が岡」です。4階建で部屋数は21室あります。3?4階のケア付き賃貸住宅のほかに1、2階には訪問看護ステーション、療養通所介護、小規模多機能型居宅介護といった介護保険のサービス事業所も設けています。他にも精神障害者向けの6室のグループホーム、幼児教室、市民も使えるレストランを併設するなどユニークな複合施設として設計されています。
土地の購入資金を含め約6割は匿名組合を設立して調達しています。関係者や知人、利用者の家族など地域住民に一口50万円で募り、利率は1.5%で3年満期と同1.0%で1年満期の2種類を設定したところ48人が応募しています。
この方法は少人数私募債といって、企業が50人未満の縁故者を勧誘して金融機関を通さず直接資金を調達する社債のひとつです。医療法人向けには医療機関債があり、病院建設や高度医療機器の購入などに使われますが、医療法人が高齢者ケアのグループホーム建設に活用するケースも出てきました。
また、神奈川県伊勢原市のNPO法人「一期一会」は介護付きの2階建て集合住宅「風の丘」を建設しています。68人から集めた資金約7千万円は、地元の愛甲団地の住民がほとんどで、金額は10万円から500万円までと幅広く、多くの住民が建設費を出資しています。
他にも大阪府のNPO法人「よつ葉福祉友の会」など、地域に根ざしたNPO法人が利用者やその家族、地域住民の厚い信頼のもと建設資金を出資してもらっているケースが増えています。介護保険事業者にも医療機関債のような資金調達の手法が認められるような緩和とガイドラインが示されれば、ますます高齢者向けの施設が充実していくのではないでしょうか。
https://www.lifestyle.co.jp/2007/11/post_236.html
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