亜臨海水

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 亜臨海水

投稿日:2007年09月18日 09:36

 最近、生ゴミやプラスチックなどの再資源化に水だけで分解できる亜臨海水や超臨海水と呼ばれる水の活用が研究され、実用化されています。水は通常、大気圧のもとでは100度Cで沸騰し、それ以上過熱しても温度は上昇しませんが、密閉して圧力を高めていくと300度Cを超えても水の状態です。水の臨界点は、圧力22MPa(メガパスカル)=218気圧で摂氏374度、水と水蒸気の区別がなくなる状態になります。

 この臨界点より低い温度・圧力の水を亜臨海水と呼び、高い状態を超臨海水と呼びます。亜臨海水は流体で、水だけで分解(加水分解)するといった現象を起こします。現在、石油に代わるエネルギーとしてバイオ燃料に関心が集まっていますが、トウモロコシやサトウキビなどの穀物相場が高騰して資源の争奪戦の様相を強めています。

 食品廃棄物や廃木材を発酵させてバイオ燃料を創る研究が活発に行われていますが、その多くは壁にぶつかっているようです。通常のメタン発酵は商業ベースに乗せるのが難しく、エタノールも発酵効率が低いので、大阪府立大学大学院工学研究室の吉田弘之教授は、バイオマス(生物資源)を直接エネルギー源に変えようという発想に無理があると話しています。

 そこで、この「亜臨海水」使って廃棄物から効率よくメタンなどをつくる技術が開発されています。廃棄物からまず油やアミノ酸、糖などの有用物を取り出した上で発酵させます。すると、菌が働きやすくなりますので、小型装置で短時間に発酵できるのが特徴です。魚のアラからアミノ酸やドコサヘキサエンサン(DHA)を取り出したり、オカラからメタンを造って実際にバイクを走らせる実験にも成功しています。

 亜臨海水は分解力が強く、高分子の鎖を瞬時に断ち切ったり、水なのに油を溶かしたりできます。酵素や触媒がなくても様々な有用物を分離、抽出できますので魔法の水として注目されています。最も有望な分野としては、下水処理場に生じる汚泥からメタンガスを取り出して、ガス発電や自動車の燃料に使うことです。下水汚泥は産業廃棄物の4割以上を占め、大半は埋め立て処分かわざわざ燃料を使って消却しています。吉田教授らの試算では、通常規模の下水処理場に亜臨海水処理プラントを併設すれば、処理場で使用する電力は賄うことができ、採算も十分取れます。

 他には廃木材から油、繊維類から糖や乳酸、家畜の糞からメタンを取り出して、国内で生じる年間4億6000万トンのゴミの70%は有機物が占めていますから、ゴミを資源として生き返らせることが可能になります。トウモロコシなど人や家畜の食用植物からバイオ燃料を造るのでは食糧不足を起こしかねません。今後は亜臨海水の活用により、未利用の廃棄物からエネルギーを取り出すことが注目されます。



https://www.lifestyle.co.jp/2007/09/post_227.html
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