市民ファンドでクリーン発電

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 市民ファンドでクリーン発電

投稿日:2006年10月16日 09:47

 市民からの出資を募って、風力発電や太陽光発電、太陽光温熱事業など環境への負荷が少ない新しいクリーンなエネルギーを供給しようという試みが徐々に広がっています。事業がうまくいけば、利息に当たる分配金がもらえるとういう方式で市民に出資を募っています。

 市民が出資して、クリーンなエネルギーを供給しようという試みは、1990年代末に北海道で始まりました。第1号は2001年に稼働した浜頓別(ハマトンベツ)町の「はまかぜ」で、風車を建設したのは北海道のNPO法人です。当初は寄付金で建設しようと試みましたが、事業規模が大きいので寄付金ではまかないきれず、出資方式でお金を募ったのが発端でした。「はまかぜ」の出資者は原子力発電の建設に反対する北海道在住者が主でした。会員や市民に呼びかけた結果、1億4150万円が217名(団体含む)から集まり、足りない部分は金融機関の融資によってまかない、企業でも行政でもない市民による風力発電が完成しました。

 今春には、秋田市内に2基の風力発電機が設置されました。秋田県内では、これで3基の市民風車が誕生したことになりますが、1基めは「風天丸」の愛称で2003年3月から稼働しています。総事業費は3億4千万ですがそのうちの約1億1千万円は秋田市民などの出資でまかないました。

 出資の収支は、発電した電気を電力会社に売り、その収入から経費などを引いて出資者に元本を償還して分配金を配当する仕組みです。その後、同様の試みが全国に広がっていて、風力発電では石狩市や青森県の大間市、鰺ヶ沢町、秋田県の潟上市、茨城県の神栖市、千葉県の旭市があります。他には長野県飯田市の太陽光発電や、岡山県備前市の太陽温熱水事業などがあります。

 出資者の多くは環境に貢献したいという意識だけでなく、元利金の返還が期待できる出資形態に惹かれた人も多いようです。市民ファンドでは、2?3%の目標利回りを設定しているところが多いようですが、風が吹かなかったり、機械の故障などで発電が期待できなかった場合には収益を上げられない可能性もあり、株と同様に元本が戻ってこないリスクもあります。逆に事業がうまくいけば、地元への利益還元も可能になります。事業そのものが環境に関心のある人々をつなぐ触媒の役割を担うようにもなっていて、都市部の出資者と地方との交流も生まれてきています。

 日本の風力発電は2001年に30万kwにようやく達した状態で、2010年に300万kwの発電量を目標としていますが、世界的には10位くらいとまだ低位にランクされています。一方、ドイツは2002年で3000万kwを超えていて、目標を8000万kwにおいています。又、デンマークのエネルギー自給率は140%ですから、資源小国の我が国も見習って自然エネルギーの自給率を上げることが期待されます。



https://www.lifestyle.co.jp/2006/10/post_169.html
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