エタノール自動車
投稿日:2006年09月15日 09:30
昨今の記録的な原油高によるガソリンの値段が上昇している影響で、燃費効率の良い軽自動車やトヨタ・ホンダなどのハイブリット車が世界的にも売上を伸ばしています。今後は電気自動車や燃料電池車など新たな動力源の自動車の開発や投入に自動車業界の対応も急がれています。
そんな中で新たに注目されているのが、ブラジル国内で幅広く浸透している「フレックス燃料車」です。フレックス燃料車とは、ガソリンとエタノール、どちらでも燃料として利用できる自動車のことです。
エタノールはお酒の成分でもあるエチルアルコールのことですが、サトウキビやとうもろこしなどの植物を原料とするものをバイオエタノールと呼びます。植物は栽培するときにCO2を吸収しますので、フレックス燃料車は
地球温暖化防止の立場からはCO2の排出量はゼロと見なされ、環境対応車として注目されています。
さとうきび産地のブラジルではオイルショックの経験を糧に、国策としてエタノール車の普及に努めてきました。全てのガソリンスタンドでバイオエタノールの販売を義務づけたおかげで、エタノール燃料に対応したフレック
ス車が国内で約15%を占めるまでになっていて、数年後には過半数を超えそうな見通しです。
ただ、注目されているバイオエタノールですが、燃料として使用する場合の問題点として、まだ価格が高いことと必要量の確保に不安があることです。現在、エタノールを輸出できるのはブラジルだけといわれていて、日本はブラジルから輸入する計画ですが、ブラジルの輸出力も決して大きいわけではなく、サトウキビの不作などによる価格上昇の懸念もあります。
日本でもバイオエタノールを自動車燃料に使用する計画を立てています。温暖化ガス削減目標達成のため2010年度までに、年間で原油50万??相当分を植物由来の燃料でまかなう計画です。今のところはエタノールを直接ガソリンに混ぜる方式ではなく、バイオエタノールと他の化学物質を合成して作る「ETBE」という物質をガソリンに混ぜる方式が有力です。
この方式のメリットは一般のガソリン車にも対応できる上、ガソリンスタンドに特別な給油設備が不要なためです。このため日本ではフレックス車のようなエタノールに特別対応した車を早急に導入する必要は今のところないようです。
現在、沖縄県でサトウキビからエタノールを生産してガソリンに3%混ぜる実験を始めていますが、温暖化ガス削減目標量には足りませんので、政府はハイブリッド車や電気自動車を「クリーンエネルギー自動車」と位置づけて普及をを促し、エタノール利用と併用させて温暖化ガスの削減に努める方針です。今後のガソリンの価格次第ではフレックス車の導入も検討されそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2006/09/post_161.html
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