裁判員制度
投稿日:2006年07月01日 14:52
これまでの裁判は、裁判官、弁護士、検察官という法律の専門家に任せきりで、世間の一般的な感覚からかけ離れた判決がないわけではありませんでした。そこで、一般の人も加わってもらうことで健全な社会常識を裁判に反映させることを目的とした裁判員制度が、2009年から始まります。
裁判員制度は、アメリカの陪審制とはすこし違っています。アメリカでは一般市民の陪審員が有罪か無罪かを判断し、刑罰は裁判官が決めますが、日本の裁判員制度では参審制というかたちで、有罪・無罪だけでなく、刑罰まで裁判官と裁判員が協議して決めます。
裁判員の選別は、まず裁判所が選挙人名簿の中から無作為に候補者を選びます。裁判一件につき50人から100人が呼び出される見通しです。
この中から裁判員になれない国会議員、裁判官、弁護士などの司法関係者、事件当事者の親族といた人達を除外します。70歳以上の人や学生、父母の葬式がある人など本人の都合で辞退できる人も除いた中から最終的に6人に絞られます。
単に忙しいという仕事の都合だけでは辞退できず、事業に著しい損害が生じる恐れがあると裁判所が認めたときには辞退できるようです。
具体的には、どんな事件の裁判に参加するのでしょうか。地方裁判所でおこなわれる刑事事件の裁判の一審に参加します。裁判官3人と裁判員6人が一緒になって、被告人が有罪か無罪か、有罪ならどんな量刑にするか判決を下します。
むしろ軽い犯罪よりも殺人や強盗致死などの死刑や無期懲役、無期禁固にあたる重大事件や故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪についての裁判が対象のため、極刑判決を下さなければならないケースもでてきます。
どれくらいの割合で裁判員候補者になるのでしょうか。統計では対象となる一審裁判は2004年で3,308件なので一件ごとに50人から100人が呼び出されるとすると、年間16.5万?32万人が選ばれることになります。
慣れない一般の裁判員が加わると、裁判が長引くかというとむしろ逆で、仕事などを抱えた裁判員を長く拘束するわけにはいかないため、連日開廷して三日程度で終えることを目指しています。 ただ、短縮化のせいで審理不十分を招かないように、事前の争点整理を充実させたり、証拠類を厳選したりするなど、裁判の正確さと早さを両立させるための準備が必要になります。
裁判では、裁判員がトラブルに巻き込まれないよう、氏名や住所は公表されませんし、安全が確保されるための保護規定も設けられていますが、裁判員側も裁判を通じて知ったことを漏らしてはならない守秘義務が一生続きます。また、金額は決まっていないようですが、裁判員には日当と交通費、必要な場合には宿泊費が裁判所から支払われます。
https://www.lifestyle.co.jp/2006/07/post_147.html
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