住宅リフォームの幕明け
投稿日:2006年05月15日 14:22
新しい住宅リフォームの幕明けが始まります。それは国土交通省が中古住宅に関する融資制度と減税対策を発表したからです。「中古住宅の築年数による制限の廃止」です。いわゆる築100年の中古住宅でも、建築士の「耐震性能表示証明」によって新築並みの融資と減税の対象になるというものです。(2005年4月に法制化)
以前は、木造住宅で築20年以内、耐火住宅で築25年以内の物件でないと対象になりませんでした。古い住宅の解体で、構造材が再利用可能なのに産業廃棄物とするのに抵抗を感じていました。しかし、今年度の改正による「中古住宅の築年数による制限の廃止」は、良質な中古住宅の流通を活発にして、10年前には解体され廃棄処分とされていた家が、リフォームによって資産価値を高め、欧米並みに良質な中古住宅の流通が活性化するというものです。
国も消費者も大きな損失をしていたのです。約30坪の中古住宅を解体処分する費用は、都内の密集住宅街では約300万円です。郊外の住宅街でも約200万円です。新築完成までの引越しと転居費用は5ヶ月で約100万円です。生かせる構造材は約200万円です。消費者は約500万円から600万円の損失をしたことになります。
今、国にとっては産業廃棄物処理場に限界がきています。環境問題も同様です。無駄な解体が少なくなると、国も消費者もどれだけ得策であるかを知っていただきたいのです。私達(住宅研究社と住宅リフォーム学院)は、築30年の家をさらに30年保持するシステムを、2004年6月23日から25日の3日間、東京ビッグサイトにて発表しました。「奈良100年住宅の改修実例」です。
今回出版するこの6冊目の本では、消費者の皆さんにわかりやすい「中古住宅再生術」を中心に、「どうしたら安心して良いリフォームができるか」を述べています。また、国・行政には、現場で30年の実務経験から得た提案をしたいと思います。そして、この本を読んだ消費者の方々には、リフォームをしながら資産価値を高める「技と心」があることを知っていただいて、賢い消費者になられることを願っています。
この本「家の寿命はリフォームの良し悪しで決まる」の活用の仕方
?新築にするかリフォームするか迷っている人
?築年代ごとのリフォーム箇所と値段がわかる
日本全国で戸建住宅の半数を占めるという築30年前後の持ち家の方々が、リフォームするか、解体して新築にするか迷っている時の良い指針になります。その実例として、「築30年の家をさらに30年長持ちさせる技法」を、奈良100年住宅の改修実例を中心に解説と写真で説明してあります。
また、この年代に建てられた家は、図面と異なった壁内になっていることが多く、施工にも不備(手抜き)な点があり、危険な状態から改修する正しい耐震補強の実例を写真と共に説明してあります。そして、小さなリフォームから大きなリフォームまでを、築年代ごとに箇所と概算予算を一覧表で説明してあります。あなたの家が築15年なら、今必要とするリフォーム箇所と概算予算がわかるというものです。
中古住宅を購入する方には、事前の調査方法と第三者(正しい調査・診断を公の場で公開し、建築に関して20?30年の実績のある方)の最終診断で決断するのが得策であることを説明してあります。そして、何より大事な
ことは、消費者の自覚です。それを本書で述べてあります。
住宅研究社 山根 裕太
https://www.lifestyle.co.jp/2006/05/post_7.html
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