中国の環境問題
投稿日:2006年02月22日 14:47
先進諸国の経済成長率が1%から3%ぐらいに対して、めざましく発展を続けているように見受けられる中国経済は8%から10%ほどと推測されています。しかし、経済の発展に伴って、環境破壊も深刻化しています。
中国では長年、経済の成長を最優先とした政策がとられてきた結果、水や大気の汚染に拍車が掛かり、国民の生命や社会の安定を脅かしはじめています。中国政府は2006年からの第11次5カ年計画で、「環境に優しい循環型経済の発展」を目指すと発表しています。
上海のある江蘇省と浙江省にまたがる位置にある太湖は、琵琶湖の3.5倍もある大きな湖ですが、汚染がきわめて深刻で国の重点環境保護地域に指定されています。日本のノウハウを導入して、微生物や水生植物などを使って水質浄化に努めていますが、水道水として使用できる水は、湖のおよそ1%に満たない垣根で仕切って浄化している部分のみで、全体の浄化は不可能に近いようです。湖に面して自治体が多く、統一的な規制が難しいのと、夜間に廃液を流す工場が後を絶たないこと、取り締まりを行う環境行政部門よりも成長を優先する企業行政部門の力が強いこと、上下水道は急速に普及しましたが、多くは生活排水を未処理のまま放出しているなど、難問が山積みです。
中国環境保護総局の報告では、都市部を流れる河川の9割が重大な汚染状態にあり、農村の3割(約3億人)が飲用に不適切な水を使っています。全国に600ある都市の内、400余りが水不足の状態で、うち110の都市はとりわけ深刻なようです。また、酸性雨の被害は国土の3分の1に及んでいてさらに拡大中です。年間1100万トン以上排出される工業危険廃棄物については、3割は未処理のまま放置されているのが現状です。
中国では、エネルギー不足と深刻さを増す環境汚染が経済成長のアキレス腱となっていて、2003年の環境汚染による国家損失は、国内総生産の15%にも相当すると見積もられています。大気や環境破壊が人体に及ぼす影響も大きく、毎年40万人が大気汚染によって亡くなり、重大な大気汚染地域の肺ガン死亡率は、良好な地域の9倍にものぼります。
また、中国の環境破壊は他人事ではなく、黄砂や酸性雨が韓国、日本を覆い、中国河川の赤潮の頻発な発生は、日本海に及ぼす影響が大きく、漁業にもダメージを与えています。資源、エネルギー効率も悪く、環境や人間の健康を犠牲に成り立っているような経済成長は、長続きしそうもありません。
中央、地方が一体となった抜本的な体制改革を含む取り組みがなされないと、手遅れになりかねないとの見方もでています。
日、中、韓の三国のこの分野での連携、協力を深めることが、悪化した三国の関係の修復にも役立つことを期待しています。
https://www.lifestyle.co.jp/2006/02/post_106.html
|