耐震強度偽装問題
投稿日:2006年01月15日 14:18
姉歯・元一級建築士や木村建設、平成設計が関与した耐震設計偽造問題が販売会社や経営コンサルタント、確認申請を請け負う民間検査機関、国や自治体をも巻き込んで社会問題化しています。建設業界にあってもコストダウンのためとはいえ、あってはならないことが起きてしまったとの認識を多くの方が持っています。
一般に構造計算は、非常に小さな物件以外の場合を除いて、国土交通省が認定した構造計算プログラムによって行われます。プログラムの流れは、建物の階数や用途を考慮してコンクリートや鉄筋の強度、地震力や荷重などの条件を設定します。次にその条件に基づいて柱や梁などにかかる曲げモーメントやセン断力などの応力を計算します。算出された応力を基に柱や梁などの部材断面を計算します。最後に基準を満たしているかどうかを判断します。
一連の計算で打ち出された計算書の最後のページには、基準が満たされていない場合はエラーメッセージがエラー数とともに表示されます。エラー数が0の場合は基準が満たされていると判断できます。
偽造の大まかな手口は、条件を正しく入力した計算書のほかに、地震力など応力を低減させて、合格の判定が出たものを出力し、巧妙に組み合わせて、入力条件が正しく、結果としては適合となっている計算書を作成していたようです。大臣認定を受けたプログラムで一連の計算をした場合、通常の使い方をした場合には適合の判定時に、プリントの各ページ上部に認定番号などが印字される仕組みになっていますが、姉歯氏が関わった物件の多くはこの番号が落ちていたようです。見逃した検査機関の検査のあり方や、構造のプロが見ていなかったのではないかとも指摘されています。地方自治体が検査した物件でも偽造物件が発覚したことは、見抜けなかったことが残念です。
マンションのデベロッパーには新築だけでなく、既存マンションについても、構造上問題がないかとの問い合わせが増えているようです。デベロッパーの説明だけで心配な場合は管理組合などを通して、構造計算書や構造図(配筋図)等を入手し、専門家に確認することが必要かもしれません。
https://www.lifestyle.co.jp/2006/01/post_2.html
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