ナノテク商品
投稿日:2005年08月16日 13:51
ナノテクノロジーは情報通信技術(IT)やバイオテクノロジー(生命技術)と並んで次世代の産業を支える技術として位置づけられています。ナノはご存じの通り10億分の1という意味を持ちますが、この超微細な世界の技術を使った商品の開発が進み、実用化され始めています。半導体加工技術の世界では、かつて1ミリの千分の1のマイクロメートルの世界でしたが、今やこのさらに千分の1であるナノの世界への挑戦が始まっています。半導体の研究開発で培われた微細加工技術に加えて、走査型トンネル顕微鏡などの新しい装置の開発が、物質を分子や原子レベルで観察したり加工したりすることを可能にしました。
ナノテクはエレクトロニクス、情報通信産業、バイオ、医薬品産業、環境保全産業や材料産業、計測産業など多くの産業に大きな影響を与えることが期待されています。エレクトロニクス産業では磁性材料をナノテクレベルまで微細化することによって超高密度の記録媒体を作るとができたり、半導体材料では量子効果の向上で超高速コンピュータの可能性が期待されています。
また、バイオ、医療分野においてはナノ材料を利用して抗ガン剤などの薬物を病気の患部に直接送り届けるシステム(DDS)が研究されています。ナノレベルの粉体を使った化粧品も次々に商品化され市販されています。
現在、中でも注目されているのがナノカーボンです。炭素が筒状になったカーボンナノチューブや炭素が球状になったフラーレンです。軽量、強靱、電気伝導性が高いなど優れた特徴を生かして燃料電池や電解放出型ディスプレイ(FED)の実用化に向けて開発、研究が進められています。
建築では金属の結晶粒をナノメートル単位に微細化したナノ結晶材料を使い、地震時の揺れを抑えるダンパーを大阪府立大学と竹中工務店、神戸製鋼が開発しています。結晶粒の直径を通常の合金の5千分の1以下に微細化した亜鉛・アルミニウム合金を使用しています。柔軟で伸びやすい性質を利用して、柱と梁の間に据え付けて地震の衝撃を吸収させます。震度6?7級の揺れでも、住宅への衝撃を3?5割軽減できるうえ、繰り返し利用が可能とのことで、2006年の実用化を目指しています。
現在、大地震の揺れに耐えられる素材としては、ビル用ダンパーに使われる「極軟鋼」がありますが、一度衝撃を吸収すると硬くなるため、繰り返し使いにくい弱点があります。開発した素材は繰り返し使用しても品質が劣化しないのが特徴で、土台にゴムなどを入れる免震住宅に比べて、建築後の住宅にも導入が容易になります。価格もダンパー1個あたり1万数千円と従来型の住宅用ダンパーと同程度にできる見込みのようです。今後こういったナノテク技術を使った商品が続々と出てきそうで期待が持てます。
https://www.lifestyle.co.jp/2005/08/post_51.html
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