定率減税
投稿日:2005年01月18日 11:52
定率減税は、1999年に当時の小渕内閣が低迷する景気を回復するために、税制の抜本的改革までの「恒久的減税」として導入した制度です。国が徴収する所得税の20%(最大25万円)と自治体が徴収する個人住民税の15%(最大4万円)を一律減税するという措置です。
定率減税による減税額は2004年度の予算ベースで、所得税で2兆5千億円、個人住民税の課税ベースで約8千億円。合計で3兆3千億円になります。仮に年収1千万円の夫婦で子供が2人いるとすると、年間約18万円、年収が7百万円では約8万円の減税になっています。98年度には一年限りということで特別減税が実施されましたが、納税者1人当たり5万5千円、扶養家族1人につき2万7千円を減税する定額減税でした。家計への効果がわかりやすい反面、所得水準に関係がなく不公平感があったため、翌年定率減税に変わりました。
政府が定率減税を廃止しようとする背景には、景気が2002年2月から30ヶ月以上にわたって回復傾向にあることと、6月に成立した年金改革法で、基礎年金の国庫負担割合が2009年度までに現在の3分の1から2分の1に段階的に引き上げることに決まったため、その財源をねん出する必要があるからです。定率減税を廃止した場合、所得税で2兆5千億円の税収増が見込めるため、国庫負担割合の引き上げに必要な約2兆7千億円が賄えることになります。
今のところ2005年度にまず定率減税を半分に減らして、2006年度に全廃する段階方式が有力です。一度に廃止すると、回復基調にある景気に水を差すことになりかねないからとの判断のようですが、景気の回復に水を差すとの強い反対もあります。景気は拡大傾向にあるとはいっても、個人消費はあまり伸びていないのが現状です。個人消費が伸びない背景には、企業が従業員の給与を増やすよりもバブル期に増えた負債の返済を優先していることがあげられます。
定率減税が完全に廃止されると、所得税と個人住民税合わせて約3兆3千億円の実質増税になります。仮に消費税の税率を1%引き上げると、2兆5千億円税収が増えるといわれていますので定率減税の廃止に伴う実質増税分は決して少なくありません。
日銀の統計では2000年1月以降、家計の金融資産残高は頭打ちになっていて、家計が貯蓄を増やせない傾向にあるとのことなので、消費にまわす余裕がなくなってくれば、支出を減らしますので、景気の腰折れにつながるとの強い意見もあります。
税収不足は増税すればよいとういう安易な考えからは脱却して、公務員や国会議員の定数削減や報酬の見直し、行政の効率化をもっと進めてからにしてもよいのではないでしょうか。
https://www.lifestyle.co.jp/2005/01/post_90.html
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