自動車リサイクル法
投稿日:2004年11月22日 14:56
平成17年1月1日から自動車の新しいリサイクル制度が始まります。
日本自動車工業会によると、昨年の廃車台数は560万台ありましたが、うち約400万台が国内で処理されました。不要になった自動車のリサイクルはこれまで、廃車から出る鉄など再利用できる物は売り、利用できないものは埋め立てるなどして処理されてきましたが、解体業者や破砕業者に任されていたのが現状でした。しかし、来年1月からの「自動車リサイクル法」が施工されることで、業界全体を巻き込んだ形でのリサイクルの仕組みが整うことになります。
具体的には?エアコンに使うフロンガス等?エアバッグ類?破砕くず、といった最終処分の難しい3品目について、自動車メーカーや輸入業者に適切な処分や再利用を義務づけるようになります。 その費用は消費者の負担となり、来年1月以降、新車を買うときに自動車の代金や税金などと一緒に支払います。現在乗っている自動車についても、次回の車検時に支払わなくてはなりません。料金は資金管理団体が預かって、実際に処理するときにメーカーなどに渡ります。金額はメーカーが車種・形式ごとに決める仕組みになっていて、便乗値上げにならないように、どのリサイクルにどれだけ費用が必要かを開示した上での金額になりますが、小型車で1万円前後、中・大型車やミニバンで1万4千円前後かかります。
法律が制定された背景には、これまでのリサイクルの仕組みが機能しなくなったことがあげられます。自動車の破砕くずは、座席に使う繊維やウレタン、ガラスなど様々な素材が混ざっているうえ、水銀など有害な重金属を含む場合があり、焼却するとダイオキシンなどが発生します、適正に処理しないと土壌や水域を汚染してしまいます。現在はそのほとんどを埋め立てていますが、最終処分場の空きが少なく、処理費用が高騰してきた背景もあり、その負担に耐えかねた業者が廃車を野積みしたり、破砕くずを不法投棄したりして問題になっています。
そこで、消費者が費用を負担し、メーカーなどが責任を持って処理する仕組みが必要になりました。悪質な業者を排除し、不法投棄や不適切な処理を防ぐため、車両の引き取りや破砕などにかかわる業者は自治体の登録・許可を必要とし、インターネットなどでリサイクル状況を情報管理法人に報告することを義務づけています。また、リサイクル費用の先払いは消費者の不法投棄を防ぐ狙いもあります。
メーカー各社もリサイクルしやすい自動車の設計に取り組んでいます。消費者がリサイクル費用を負担することはいたしかたないのでしょうが、リサイクルで得た利益の還元などでメーカーを見る目は厳しくなりそうです。
https://www.lifestyle.co.jp/2004/11/post_110.html
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