家庭用燃料電池

ライフスタイル総合研究所



 家庭用燃料電池

投稿日:2004年10月17日 02:10

 自動車や携帯電話など各分野で燃料電池を使った製品、試作品の開発が進んでいますが、電気とお湯を供給する家庭向け燃料電池装置の実用化も間近になってきました。

 松下電器産業と荏原製作所が、それぞれ電池の心臓部と呼ばれる発電部品の寿命を一万時間以上に伸ばす技術を確立し、交換なしで3年間運転できる装置の製品化に取り組んでいます。

 家庭用燃料電池は都市ガスなどから水素を取り出して、空気中の酸素と反応させて発電する仕組みです。家庭用の場合、摂氏80度程度のお湯を風呂場や台所でうまく利用できれば、燃料を無駄なく使え、エネルギー効率も80%まで高めることができます。送電ロスにより30%台後半にとどまっている火力発電の効率を大きく上回ることができ、地球温暖化防止の効果も期待されています。

 燃料電池装置を開発している各社は、戸建て住宅の基礎的な需要とされる1??程度の電力を1台で供給できる装置の開発を進めています。松下と荏原の製品販売はガス会社経由になる見込みで、首都圏では2005年1月から3月に東京ガスが販売を開始する予定です。大阪ガスは2006年3月までに発売する計画です。

 現在、非常用電源として販売されている燃料電池は1500時間程度ですが、スタックと呼ばれる発電部品の寿命を1万時間以上にすることに成功しましたので、3年程度の運転期間中は部品を交換せずに製品の実用性が高まりました。2010年には4万時間以上の寿命に引き上げる目標を掲げ、両社は普及に向けてサービス体制の整備に着手しています。

 しかし、家庭用燃料電池を普及させるための最大の課題は価格にあります。
試作品のコストは1台1000万?3000万円かかるようで、今のところ各社が実験用に年間数十台を生産している状況です。部品も手作りに近いため、来年量産しても当初は300万円以上のコストがかかるとみられています。

 本体が30万円程度のガス給湯器と電力料金の組み合わせに比べると消費者にメリットが少ないのが現状です。各社は燃料電池の価格を2010年頃までに50万円程度にすることを目標にしていますが、当面は各種割引や政府補助での対応になりそうです。

 家庭用燃料電池市場を順調に立ち上げて行くには官民でユーザーを支援していく仕組みが欠かせません。環境省は家庭用燃料電池装置の設置費用を3分の1補助する方針を打ち出しています。ガス会社も装置を設置した家庭を対象にガス料金の割引をして、台所の電化が進んで電力会社に奪われた家庭向けエネルギーの供給を取り戻そうとしています。消費者の負担をどこまで軽減できるかが普及への課題になりそうです。



https://www.lifestyle.co.jp/2004/10/post_61.html
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