「エスペラント」が話される時代
投稿日:2004年05月18日 12:13
経済の言葉から政治の言葉へ
今、なぜエスペラントが見直されているのか。そのきっかけを作ったのはEUです。EUは予算のほとんどを翻訳料で失っています。EUはもしこの翻訳料で使っていたお金を別の使い道で使えたならばより大きな効果をEUに与えることができたと考えています。そのことはイギリスの信頼できる新聞ファイナンシャル・タイムズでも取り上げられています。現在、EUには25カ国加盟しており、公用語はなんと20言語です。そのため翻訳料削減のために頭を痛めているのです。
EUがどのような方法で翻訳料削減をするかはまだわかりませんが、そのひとつの方法として考えられているのがエスペラントの導入です。どの自然言語を導入したとしても、それはその言語を話す国の既得権益になってしまい争いの種となります。日本では英語学校のNOVAだけでも4万人のネイティブスピーカーが日本各地で働いており、世界の留学生が英米両国に落とす語学教育費だけで毎年2,800億円にのぼっています。日本では問題にならなくても、同様のことがヨーロッパで起これば問題になることでしょう。するとEU各国にとってフェアーな言葉となる人工言語の導入を検討しなくてはなりません。ヨーロッパで使われ1世紀生き残った実用的な人工言語となるとエスペラントしかありません。
ところで、みなさんもご存知の通り、実際に世界中のビジネスの場において話されている言葉は英語です。英語を話せる人にとってはいまさら新しい言葉はごめんだと考えるでしょう。それはヨーロッパの中でも同じことだと思います。現在のビジネスの構造を作ったのは英語圏の人たちですから当然のことです。これは彼らの得意分野であり、彼らの業績に感謝し、しっかりと評価をするべきでしょう。
エスペラントは経済の言葉ではありません。ビジネスで成功を収めたいならば経済の言葉である英語を学ぶことです。しかし世界を平和にしたいなら政治の言葉であるエスペラントを学ぶことが望ましいということです。
むしろこのことはみなさんもご存知のとおり世界中の問題です。世界中の各国国民が抱えている問題、それは政治の失敗なのではないでしょうか。政治の失敗は経済を失敗させます。より良い経済を必要とするならば、より良い政治が必要です。そしてより良い政治が必要ならば、より良い倫理や宗教といった価値観が必要です。
彼らEUはそれらを歴史から学んでいます。行き過ぎたナショナリズムは互いの共食いを生み、そして行き過ぎたグローバリズムは今のイラクのような戦場を生むということです。両方とも世界の統一を考え自滅を招くということです。世界を見てもわかるように時代に求められているのは統一ではなく統合です。つまり世界は自立と連帯のバランスを取って歩まないとならないということです。そしてEUはその目的を多様性の中での持続可能な成長と考えたのです。
世界中の人たちが平和と良い経済を得るには、今までの古い価値観を進化させ政治を立て直すしかありません。そしてより良い政治のもとでより良い経済と平和が誕生します。個人の利益から企業の利益、企業の利益から国家の利益、国家の利益から人類の利益と大きな視点で動く経済がその政治で実現することを祈ります。この動きは国際的にではなくインターネットのように民際的に拡がることでしょう。さあ、良い政治のため、平和のためにエスペラントを話し始めましょう。
毎週、月曜日の夜にエスペラントの勉強会を渋谷で行っていますので、興味のある方はご連絡ください。
シンクタンク藤原事務所 山本 伸
TEL:03-3462-2788
https://www.lifestyle.co.jp/2004/05/post_95.html
|