核融合発電

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 核融合発電

投稿日:2004年04月22日 14:58

 エネルギー問題を最終的に解決できるともいわれているのが核融合発電です。主要国が共同で国際熱核実験炉(ITER)建設の実現に向けて着手を始めました。

 ITER計画には日本や欧州、米国、中国、ロシア、韓国が参加していて、実験炉の設計図はすでにできあがっています。日本の青森県六ヶ所村かフランスのマルセイユ郊外のカダラッシュのいずれかに建設される予定です。総事業費は1兆3千億円で、2010年代に完成させ、2030年頃まで実験を続ける計画です。

 太陽は燃えるといっても通常の燃焼とは違って、水素の原子核同士が融合してヘリウムという別の原子核に変わる反応が起き、莫大なエネルギーを放出しています。核融合発電はこの太陽が燃える仕組みを手本にしています。

 まず、核融合を起こす「場所」は周囲と接しない状態で真空中に用意する必要があります。この技術はすでに日本や米国、欧州の実験装置でほぼ実証済みで、人間が中を歩けるくらいの中空リング状の真空装置を使って、強力な磁場をかけて燃料の塊をドーナツのような形で浮かせておくことに成功しています。核融合は1億度以上という超高温で起きます。

 次に必要なのは、太陽と同じように核融合が連続して進み、エネルギーを生み出し続けるようにすることです。現在の各国の装置では、燃料を熱したりするのに使うエネルギーと生じるエネルギーがほぼ同じで、これではまだ発電に使えない状態なので、この壁を乗り越えるためにITERの建設を進めようとしています。

 核融合を効率的に起こすには燃料の塊であるドーナツ型のプラズマを大きくすればいいことが、これまでの研究で分かっています。日本原子力研究所が茨城県那珂町に持つ大型の実験装置「JT60」では、プラズマの大きさは直径7?弱で体積が80立方?ですが、ITERでは直径が12?超、体積は約8百立方?とJT60の10倍に相当します。この大きなプラズマを武器に、投入した量の10倍以上のエネルギーを生み出すことを目標にしています。この段階までくれば発生したエネルギーの一部を使って燃料を加熱し、核融合が続くことになります。

 ITERの燃料は水素の仲間である重水素と三重水素を使います。これらが融合してヘリウムができると同時に大きなエネルギーを持つ中性子が飛び出します。核融合で生み出される8割のエネルギーは中性子の形で得られます。中性子が周囲のステンレス製の壁に当たって熱に変わる仕組みです。実験炉の次に建設する発電の実証プラントで壁面に水が流れるようにして熱を取りだし、発電タービンを回します。放射能を出さない未来のエネルギーはこの巨大プロジェクトの成否にかかっているので是非成功させたいものです。



https://www.lifestyle.co.jp/2004/04/post_111.html
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