生体認証
投稿日:2004年02月18日 12:27
最近、生体認証という言葉をよく耳にするようになりました。銀行の新型貯金にも取り入れる動きがあるようですが、いったいどういったものなのでしょうか。安全や機密保持のため、特定の施設に限られた人だけが入室できるようにしたり、クレジットカード支払の際、本来のカード保有者かどうかを確かめたりする場合に、体のある部位の特徴(生体情報)を機械で照合して、本当に本人かどうかを確認する仕組みを生体認証と呼びます。
最も多いのが指紋による認証です。各国の警察では、犯罪者を記録するのに20世紀初頭から本格的に指紋を活用し始めましたが、最近は一般生活レベルでの利用が増えてきました。読みとり機に指を乗せ、登録者と指紋が一致しない場合には動かないエレベータが登場したり、指紋以外では目の絞りにあたる虹彩や顔、手の形状を玄関に設置したカメラでチェックし、入居者を確認してドアを開けるマンションも登場しています。
金融機関では、スルガ銀行が6月から始める新型預金に採用し、登録した手の静脈の模様を専用端末で照合して、一致する人が通帳を持参した場合だけ、お金が引き出せるという、国内で初めて生体認証を使った金融商品を出す予定です。
生体認証が内外で拡大している背景には機密保持と防犯意識の高まりがあります。これまで日本は、米国などに比べて犯罪が少なく安全な社会と考えられていましたので、生体認証の導入も小規模にとどまっていましたが、近年犯罪が急増している影響もあり導入に拍車がかかってきました。
インターネットを使った電子商取引が急ピッチに拡大したことで、本人確認の重要性が一段と高まっています。一般に、本人確認には暗証番号やパスワードを利用していますが、盗み見られたり、類推されたりする危険性が伴います。生体認証を使えばそうした危険性を避けられる可能性が高まります。
しかし、データで認証することを逆手にとられる恐れもあります。例えば、認証装置に保存された目の画像を取り出して印刷すれば、その目の持ち主として装置に認識させることが可能ですし、コップに残った指紋から偽の指を作って、認証システムを通過させることも可能になります。指紋や目の持ち主が実際に目の前にいるかどうかの認識機能と、装置に映る目が微妙に動くことや、指紋から指の体温や血流を確認できる技術の進歩が必要になってきます。
防犯だけでなく、消費者にとっての利便性を高める効果も期待されていますので、精度が上がれば、買い物の際、現金やクレジットカードを持たずに本人の体だけで支払が可能になったり、医療情報の交換、患者やカルテの管理などに利用が検討されたりと、用途に応じて使い分けが進んでいくのではないでしょうか。
https://www.lifestyle.co.jp/2004/02/post_99.html
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