大陸棚の資源

ライフスタイル総合研究所



 大陸棚の資源

投稿日:2004年02月23日 10:17

 日本の領土が1.7倍増になるかも?そんな「まさか」の話が現実味を帯びてきています。その領土とは大陸棚です。鉱物資源の宝庫とあって日本だけでなく、世界をあげて争奪戦に突入しようとしています。

海を巡っては「海洋の支配」と「海洋の自由」というふたつの考え方が対立してきました。1945年、米のトルーマン大統領が「わが国沿岸に接続する公海の大陸棚資源は米国に属する」と突然宣言し「海洋の支配」に走り出したことから、大陸棚は一気に注目を集めるようになりました。

 大陸棚条約が58年に採択されたものの、「水深200?までの海底」と定義も大雑把だったため、新たに採択されたのが82年の国連海洋法条約(発効は94年)でした。条約発行後10年以内に、国連大陸棚限界委員会にデータを提出して、地殻の構造が本土と連続していると認められれば、最大350海里まで大陸棚を延長できるという内容でしたので、沿岸国は色めき立ちました。

 しかし、各国の調査の過程で、大陸棚の延長部分の基準となる「大陸棚斜面脚部」が簡単に特定できるものではないことがわかり、99年5月に大陸棚委員会は新たに科学的技術的ガイドラインを作成すると同時に、発行後10年の起算点を94年から99年に変更しました。これにより、各国とも2009年に向け調査に本腰を入れ始め、大陸棚争奪戦が展開される背景となりました。

 日本は島が多く、広範囲の経済水域を有するので、早くから調査に動きました。その結果、竹島・尖閣諸島など、領土問題を抱える西方などは7カ国との地域の中間線で行き止まってしまいました。可能性として沖の鳥島、南鳥島周辺など6ヶ所、合計で現在の国土の1.7倍にあたる65万平方??が新たに日本の大陸棚になりそうなことが分かりました。

これが認められると、他国の干渉を受けずに海底のエビ、カニ、貝などの定着性生物の捕獲や海底下の鉱物資源を探査、開発できるようになります。伊豆・小笠原列島の海底には相当量の熱水鉱床があるので、金や酸化したマンガン、ニッケル、コバルトを含む鉱床が広範囲に存在するようです。又、鉱物だけでなくバイオ資源や深海生物も魅力があります。海底の枕状溶岩の隙間に温暖化の原因となる二酸化炭素を液化して注入し、メタン生成細菌というバクテリアでこれをメタンに変えて回収する研究も進んでいるようです。

しかし、海底深くから資源を掘り出すコストとの兼ね合いで、採算性の問題や大陸棚斜面脚部だと証明する調査やデータの収集・委員会を説得させることのできる理路整然としたストーリーづくり、中国・韓国・ロシア等との外交的な調整力など、前途洋々とはいかない部分もあるようです。しかし、貴重な資源の宝庫ですから、活用が期待されています。



https://www.lifestyle.co.jp/2004/02/post_113.html
コメントなどを募集中!
コメントしたことがない場合ライフスタイル総合研究所の承認が必要になります。承認されるまではコメントは表示されません。




ライフスタイル総合研究所について会社概要業務内容営業拠点 
Copyright(c) 1997 by (株)ライフスタイル総合研究所