環境税
投稿日:2003年12月23日 10:20
環境省が温暖化ガス排出抑制の切り札として環境税の導入を検討しているようです。石油や石炭など化石燃料を燃やすと二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスがでます。ガスは気温を上昇させ、世界各地で起きている海面上昇や異常気象などの原因ともみられています。このため、できる限り排出を減らす必要があると考えられています。
ガス排出を抑える仕組みのひとつとして、環境省が検討しているのが「環境税」です。石油や石炭などの売買に税金をかけて燃料消費を減らす狙いがあります。価格が上がれば企業や家庭が省エネに心がけ、負担を減らそうと努力し、結果としてガス排出量が減り、最終的には温暖化防止につながるという期待があるからです。
EUの一部の国では環境税の導入が成果を上げています。フィンランドは1990年に環境税を導入し、1998年の同税を導入しなかった場合に比べてCO2の排出量を約4百万?(総排出量の7%)減らしたといっています。環境省は2005年から石油や石炭などが含む炭素1トンあたり3千4百円の環境税をかける案を提示していますが、これはガソリンにあてはめると1?あたり2円に相当します。これによって年間約9千億円の税収を見込んでいて、低公害車や省エネ機器開発への補助、CO2を吸収する森林の整備などの温暖化対策に使うようです。
環境省が環境税の導入を検討した理由は京都議定書が義務づけた温暖化ガスの削減目標を達成するためで、日本は2002年6月に議定書を批准しました。これによって2008年?2012年の平均排出量を90年比で6%削減することを約束したことになります。
しかし、日本の温暖化ガス排出量は減るどころか増加しています。2001年度は90年比で5.4%高い12億9千9百万?のCO2があり、抜本的な対策に迫られているからです。環境税の導入によって、排出量を2010年には導入しない場合と比べて1億4百万?減らせると試算しています。
これは日本がこれから削減しなければならない量の約7割にあたります。
しかし、環境税の導入には産業界の反発も強く、2005年の導入は難航しそうな気配です。まず、石油炭素税との調整が難題です。石油炭素税は経済産業省主導で今年度から段階的に導入する税で、炭素含有量を考慮して課税されます。これは、事実上の環境税で新たに課税するのはおかしいとの産業界の反発があります。毎年4千5百億円の税収を見込んでおり、一部を温暖化対策に使うようですが、課税方法には問題がありそうです。
又、業者が税金分を負担するのでは消費者に節約を促すという目的も達成できません。安易に課税するのではなく、きちんと国民が理解をして、協力を惜しまない環境をつくる努力が国や官庁側に必要なのではないでしょうか。
https://www.lifestyle.co.jp/2003/12/post_115.html
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