温泉にご注意!
投稿日:2003年04月17日 02:27
石川県の加賀温泉郷・山中温泉で2003年1月、レジオネラ菌感染による死者がでました。感染源は第三セクターの温泉施設の浴槽です。昨年、7人が死亡する集団感染が起きた宮崎県日向市の温泉施設と同様に、湯を何度も使う循環濾過式(循環式)でした。
1月16日夕方、男性(当時68歳)が気を失って気泡風呂に沈んでいました。湯を吐かせると意識が戻り、帰宅しましたが、翌日から体の不調を訴え、23日に重症肺炎で死亡。男性の痰からレジオネラ菌が検出され、浴槽の菌と型が一致しました。肺に湯が入り、感染したらしいとのことです。
この施設は源泉からの湯を浴槽に流し放しではなく、湯量毎分150リットルの源泉を近くの旅館と共有しており、塩素消毒した湯の汚れを取り除きながら何度も使う循環式です。湯を完全に入れ換えるのは浴槽や循環濾過装置を掃除・消毒する時の1週間に1度だけです。普段は源泉からの新しい湯を加えながら何日も湯を再利用していました。循環式が直ちに危ないわけではないですが、消毒や清掃が不十分だとレジオネラ菌が増殖し、その湯を使った打たせ湯や気泡風呂で細かい水しぶきが肺に入ると、感染する可能性が高いといわれています。
厚生省(当時)は2000年12月に定めた「公衆浴場の衛生管理等に関する要領」で、循環式の場合は主に塩素で殺菌し、その濃度は「1リットル当たり0.2-0.4ミリグラムを2時間以上保つことが望ましい」としています。この施設は「風呂がプールくさい」という客の苦情で、塩素の濃度を0.2ミリグラム程度に抑えていました。男性の死亡当日、県が施設の浴槽で採った湯の塩素濃度は0.05ミリグラムと低く、レジオネラ菌は国の基準の26倍に増殖していました。
循環式が全国に普及しているのは豪華な施設を造るため、源泉の湯量が施設の規模に追いつかない。コストの問題もあり、循環式で何日も湯を使い回している施設が大半です。循環式はおおむね加熱し、殺菌のために塩素を注入するほか、貯湯タンクの湯を冷やすために水も混ぜます。ある旅館経営者は「循環式と泉質の関係を問題にしたら、全国の温泉地の7割が行き詰まる」とぼやいています。
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https://www.lifestyle.co.jp/2003/04/post_69.html
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