フィンランド生まれの超高感度感圧センサー

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 フィンランド生まれの超高感度感圧センサー

投稿日:2000年01月15日 22:10

フィンランド生まれの超高感度感圧センサー、
EMFi[Electro Mechanical Film]電子・機械式フィルム

平成18年1月

田中稔彦

センサーとその原理
本技術は、フィンランド国立技術開発センター(VTT; 日本の産総研に相当)の化学部門によって、1990年代初頭に開発された。
材料は、ポリプロ製シートで(Fig.1)、厚さは約30μ、そのシート内部に無数の平均直径1μ程度の空洞(バブル)を形成させている。EMFiの新規性はこのバブル構造にある。そのフィルムに電荷をチャージさせる。荷電されたフィルムは電荷を細泡バブルの中に捕獲しており(Fig.2)、容易には逸散しない。この状態のフィルムが、此処で紹介するセンサーのエレメント用素材となる。

このエレメント用素材を、導電性フィルムで両側からサンドウイッチ状に挟む。この状態で、センサー・エレメントが完成する。
これは、一種の静電容量センサーであると考えられる。Fig.3 の様にセンサー・エレメントに力を加えると、その力(圧力)に比例した電荷の移動があり、上下の導電フィルムにmV オーダーの電位差が発生する。これをオシロスコープ等で電圧変化を観察する事が出来る。

幾つかの応用

面圧測定の応用は無数にあり、典型的なものとして、足の裏に受ける圧力分布の測定に供した例がFig. 4 である。同様に、ギターのピックアップとしての応用がある(Fig.5)。センサーは、ブリッジ(普通は、幅3mm x 長さ120mm程度で、弦に高さを与えている)の下に忍ばせて弦の振動乃至は筐体の振動を(力の変化を)電圧変化にするものである。実際は、筐体内に付加的に取り付けたプリアンプを通して、更に市販のアンプに接続し使用する。本製品が最も広く使われている例で、日本では、ヤマハ、星野楽器、森平楽器(モーリスギター)のどで、大量に使用されている。

最近注目されている応用分野は老人医療用である。老人ホーム(Fif.6)などでの要監視患者のモニター用としての応用がある(徘徊老人検知など)。

特徴

本センサーは、大きく分けて二つの特徴がある;
その一つは、付加加重帯域が極めて広い事で、自動車のような数トンから、人間の体重50乃至100Kgのオーダーの加重変化に重畳して心拍や呼吸脈のようなmg オーダーの変化を同時に捉えることが出来る事である。
もう一つは、対周波数応答の幅が極めて広い事である。人間の可聴周波数帯は20Hz?2万Hzと言われているが、本センサーは、0.01Hzから20万Hzまでを再現出来る。従って、弦楽器に適用すると、その音域の広さが理由で聴覚に非常に自然な音を訴える事が出来る。Fig.7は、マット・センサーからの生データを、ミリグラム・オーダーの感度にしたプレアンプを通してPCスクリーンに示した例である。左図は心拍で右は呼吸拍(同じ感度とスイープ速度で検知している)。

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